かわいい、だけじゃないんです。
大きな帽子を目深にかぶり、ダッフルコートを身にまとった小さな子グマ、パディントン。イギリスを代表する児童文学「パディントン」シリーズは、1958年に作家のマイケル・ボンド氏によって生みだされ、今年で生誕60周年を迎える。その本作の世界をたっぷりと味わえる展覧会が、渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中だ。
本展の音声ガイドナビゲーターを担当したのは、俳優の瀬戸康史。小学生の頃から「パディントン」シリーズを読んでいたという瀬戸にとって、本展は「„かわいい“だけではないパディントンの魅力がつまった展示」だという。
「ドジで、お茶目で、一見こどものような存在にも見えるパディントンですが、いろんなことに挑戦する行動力や冒険心もあり、どこか世の中を客観視するような眼差しも持っている不思議なクマです。そんな彼の目を通して捉える日常は、とても新鮮でユーモアにあふれてる。展示を見てたくさんの物語や作品の背景を知ってもらえたらうれしいです」
世界中のさまざまな作家によって描かれている「パディントン」シリーズ。会場には各作家による絵本や漫画の原画、書籍、原作者の貴重な仕事道具などが展示され、作品の世界観を存分に味わうことができる。
「原画をじっくり見ていると、インクの跡や指紋などから、作家たちのエネルギーや息づかいが感じられるんです。ページをめくっていくように、次々と新しいパディントンが目の前に現れるので、まるで物語を読み進めているかのような感覚で楽しめます。ぜひ会場で体感してほしいですね」
ナレーションをする機会も多いという瀬戸だが、展覧会の音声ガイドをつとめるのは、今回が初めて。収録中には「鑑賞者に寄り添いながら、一緒に観ているような感覚」で、気張らず„素“に近い自分で挑めたという。そんな彼の声と一緒に、パディントンの世界をじっくり巡りたい。
せと こうじ
1988年5月18日、福岡県生まれ。2005年に俳優デビュー。NHK連続テレビ小説『あさが来た』、映画『ミックス。』などに出演し、2017年の主演舞台『関数ドミノ』では「文化庁芸術祭 演劇部門 新人賞」を受賞。今後は7月20日スタートのNHKドラマ10『透明なゆりかご』や、9月には映画『寝ても覚めても』の公開を控える
Illustrated by Peggy Fortnum © Paddington and Company Ltd 2018
『生誕60周年記念 くまのパディントンTM展』
児童書シリーズの挿絵でお馴染みのペギー・フォートナムをはじめ、各作家による数々の絵本原画などを公開。
渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムにて6月25日(月) まで開催