過ぎゆく1年に悔やんだり悩んだりすることも多い12月。けれど、働いて、社交して、家事や育児につとめ、日々懸命に過ごしてきたわたしたち。12月は、2025年の締めくくりとして自分のために時間やお金を使ってもいいのでは。お部屋の気分を変え、健康的な食事やセルフケアを取り入れ、自分自身をねぎらってあげよう。心も体も健やかに、また新しい1年を迎えるために。
心地よく部屋を整える
遠くに行く時間はないけれど、せめて部屋だけは気分を変えて年末年始を迎えたい。そんな小さな願いを叶える素敵なお店と、それぞれのお店イチオシのアイテムをピックアップ。
いつかどこかで見た花の庭
ジャルダン ノスタルジック(神楽坂)
パリの一角にあるような赤い木の扉を開けると、一面花に埋め尽くされた空間に思わず感嘆の声が漏れる。青江さんと加藤さん、2人の店主が14年前にオープンし、以来地元を中心に愛されてきたフラワーショップだ。「なつかしい庭」の名の通り、ニュアンスカラーを中心にした花々はいつかどこかで目にしたような親しみのあるものばかりだ。一本からでも気軽に購入できるほか、毎週木・土・日曜に開催されるレッスンや、1〜2カ月に一度販売されるブーケ「きまぐれノスタルジック」も人気。「髪型変わった?」など、常連さんと店主が何気ない言葉を交わす光景は、地域に根差した店ならではの温かみとなつかしさに溢れている。
住|東京都新宿区天神町66-2 高田ビル1F
電|03-6280-7665
営|月・水・金曜12:00〜17:00/木曜10:00〜17:00/土・日曜11:30〜19:00
休|火曜
@jardinnostalgique



2週間に一回内容が変わるレッスン1万1500円〜。定員は6〜8名。主宰する青江さんと参加者との掛け合いにも和む。スケジュールはHPやインスタグラムで確認を。

店内では元パティシエの加藤さんが作る焼き菓子も販売するほか、週末にはテイクアウト限定で生ケーキも登場。自作のカクテルやホットワインなどアルコールもあり、ワークショップ前に一杯オーダーする人も。

その時々のテーマに合わせ、季節の花を組み合わせて作るブーケ「きまぐれノスタルジック」S3850円、M5500円。花の種類はお任せだが、ボリュームもたっぷりで大満足。開催時はインスタグラムで告知。
作品への愛が溢れるスタッフが常駐
SML(中目黒)
食卓周りを中心とした器の専門店。オーナーが日本全国を訪ね歩いて集めた作家ものが一堂に並ぶ。月に一度のペースで行う企画展のほか、器でカレーや熱燗を味わうイベントや、ダシをとったり包丁を研いだりする調理道具にフォーカスしたイベントなど、「もの」を売るだけではなく「こと」としての使い方まで提案している。そして特筆すべきはスタッフの作品への熱量。作家一人ひとりの個性や技法を熟知したスタッフの解説を聞いているだけで愛着が湧くこと間違いなし。贈り物を探すのにもぴったりなので、まずは気軽に質問してみて。
住|東京都目黒区青葉台1-15-1 AK-1ビル1F
電|03-6809-0696
営|12:00〜19:00/土・日曜、祝日11:00〜
休|不定休
@kiguu15



静岡・齊藤十郎さんのマグカップ1万1000円。ろくろで挽いたあとに切子のように表面に彫りを入れた繊細で存在感のある一品。

岡山・石川昌浩さんの網目ワイングラス8800円。ぽってりとして安定感のあるワイングラスは手にも馴染みやすい。
長く使える一点を探しに
ラ・ロンダジル(神楽坂)
2002年にネット通販からスタートし、2004年に神楽坂に店舗を構えたオーナーの平盛さん。ジャンルを限定せず、器や生活道具などの、暮らし全般にまつわる作家作品を扱っている。セレクトの信条は、暮らしのなかに足しても馴染むもの、安心して長く使え、メンテナンスができるもの。船橋正則さんの竹製品や村瀬可衣さんのランプシェード、鎌田克慈さんの漆器などはその代名詞だ。2025年で6度目の開催となった中島完さんの茶道具展など、月に1〜2回行われる展示会も毎回興味深い。作家さんによってはオーダーも可能なので気軽に相談してみて。
住|東京都新宿区若宮町11 摩耶ビル1F
電|03-3260-6801
営|展示会時 12:00~18:00/日曜、祝日・最終日12:00~17:00
休|月曜
営|常設時 12:00~17:00
休|日・月曜
@la_ronde_d_argile



鎌田克慈さんの片口 4万4000円。鎌田さんの漆器は、型に麻布を張り、漆で塗り重ねる「乾漆」技法によって作られる。

お正月の場面にもぴったりなたなかふみえさんの高台杯 9900円。

1万2100円。2026年1月から個展も開催予定。
職人技を今に伝える道具店
谷中松野屋(谷中)
1945年に馬喰町で鞄問屋として創業し、3代目に当たる当代が荒物問屋に転身。2010年には谷中のこの地に実店舗を構えた。扱うのは、東北を中心に作られるカゴや竹細工、ほうきなど日本各地で受け継がれてきた手仕事品の数々。ほうきひとつにしても、外履き用、畳などの中履き用、棚などの掃除にも便利な手ぼうきなど、さまざまな種類があることを教えてくれる。「ほうきの生活に慣れると、掃除機を使えなくなるんです」と店主の松野きぬ子さん。使い手のことを考えて作られた職人による暮らしの道具は、そのどれもがすんなりと手に馴染むはず。
住|東京都荒川区西日暮里3-14-14
電|03-3823-7441
営|11:00〜19:00
休|火曜
@yanaka_matsunoya



アカシアちりとり(フィリピン)3630円。

鋳物刷毛(福井)2420円。砂糖や塩などの調味料をこぼしたときにも重宝する便利グッズ。キッチンにひと組スタンバイしたい。
再び価値を見いだされたものたち
FANagain(千駄木)
「一度捨てられそうになったものを、見方を変えてもう一度楽しむ」。店名に込められた想い通り、店内にはオーナーの高島さんにより一命を取り留めた個性豊かなリユース品が並ぶ。昭和年代のポットやドイツのテーブル、アフリカの仮面など、国も属性もバラバラなそれらはすべて、「安価で超素敵なものを見つける」という気概のもと集められたもの。無名のものに価値を見いだすことに何よりのやりがいを感じている。「スペースをもつと甘さが出る」と、在庫は抱えない主義。商品を回転させ、いつ来ても客を楽しませるその精神にも脱帽する。
住|東京都文京区千駄木3-48-2
営|土曜10:00〜17:00/日曜12:00〜17:00
休|月〜金曜
@funagain_sendagi



ドロシーハフナーのミルクピッチャー 8500円。

コーヒーポット 4万6000円。アメリカ人デザイナーのドロシーハフナーが、ドイツのローゼンタール社のためにデザインしたフラッシュワンシリーズ。