東出昌大さん

プロフェッショナルの肖像 「 PRO-FILE」 東出昌大


 群馬県・みなかみ町の雪山でイノシシを捕らえ、手を血まみれにしながらさばく。新潟県・津南町では縄文文化に触れ、山形県の羽黒山では山伏に出会う。太平洋の大海原の上ではタコ漁に奮闘する…。  

 俳優・東出昌大による初の写真集『西から雪はやって来る』は、”感じる”をテーマに大自然で出会った、さまざまな体験が記録されたロードムービー・フォトブック。長年東北の地を撮り続けてきた写真家・田附勝氏によって、8日間に及ぶ旅が撮影された。

 今回の旅では、「素の自分」になれたと東出は語る。

 「最初に伝えられたのは、”感じる”というテーマだけ。行き先も日数も知らされずに出発しました。だから、意識的にカメラの前に立つのではなく、目の前のことに素直に反応できていたと思います。その自然な姿を田附さんが切り取ってくれていて、こんな顔をするんだ、と自分でも思うような表情がたくさんありました」

 初めて体験することばかりの旅は、驚きや発見の連続だったという。特に東出自らの手でイノシシを解体する場面は、写真集のなかでもひときわ強い印象を放つ。

 「とにかく”生きる”ということについて考え、圧倒させられる旅になりました。イノシシを狩ったときも、普段当たり前のように食べている肉も、生きているうちはこんな声で鳴くんだと思うと、これまでの食事に対する意識が全然違うものになったり。自分は本当に狭いところで生きていたんだなと痛感したんです。便利さのなかで見過ごしていたことって何だろう、大事なものって何なんだろうと。そう考えることが多くなりました」

 この写真集について、「”見る”のではなく、”読んで”みてほしい」と語る東出。20代最後をむかえる節目に、彼が東北をはじめとする地で出会い、感じたことはどのようなものだったのか。田附勝が撮影した写真とともにつづられた彼の言葉をたどりながら、ぜひ追体験してみてほしい。


ひがしで まさひろ

1988年2月1日、埼玉県生まれ。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。同作で第36回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。翌年、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で注目を集め、ドラマをはじめ映画やCMなど幅広く活躍中


西から雪はやって来る

写真:田附勝 

言葉:東出昌大 

造本:町口覚

発行:宝島社

3218円(税込)


photo: Masaru Tatsuki

styling: Kentaro Higaki(little friends)

hair & make-up: Yuki Aso(LAND)

text: Naoe Hanamido(EATer)





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