店内にある気に入ったフレグランスや好みの香りのイメージを伝えて、カクテルをリクエスト。バーテンダーがオリジナルカクテルを創作し、仕上げにムエット(試香紙)を添えて完成。

EDIT(h)’s concept store and Fragrance bar - 東京メトロ 飯田橋駅(東西線/有楽町線/南北線)[TOKYO METRO UPDATING]


朱肉と香水とカクテルが
神楽坂でひとつに

 神楽坂通りをのぼり、善國寺の手前あたりで右に曲がる。本多横丁を少し下っていくと、ふわりほのかにいい香り。どこか懐かしくもあり、でもまったく新しい。そんな未知の香りは、街の空気にもなじんでいる。この香りを辿った先にあるのが、「ĖDIT(h) 神楽坂フラッグシップショップ」。フレグランスブランド《エディット》による、コンセプトストアだ。

 《エディット》は、2018年に誕生した日本のフレグランスブランドだが、そのルーツがまず面白い。なんと母体となっているのは、1905年創業の朱肉メーカーのモリヤマ。老舗の朱肉メーカーがなぜ香水を?という疑問を、ファウンダー兼クリエイティブディレクターである葛和建太郎さんに聞いてみた。

 「モリヤマは100年以上前から《日光印》という名前で朱肉をつくっていました。僕は、その6代目になります。もともと音楽業界にいたんですが、家業を継いだ後に、新規事業として《エディット》を立ち上げました。朱肉と香水。一見まったく関係ないように思いますよね。でも、深いつながりがあります。それが香りです。《日光印》の朱肉には、香料が入っているんです。その香りのエッセンスが、《エディット》のすべての香水にも使われています」

 ブランド立ち上げ時に、葛和さんがデビューの場として選んだのは、フランスのパリ。世界基準のフレグランスブランドを目指しているからこそ、香水の本場で挑戦をした。

 「デビューから8年が経ち、日本だけではなく海外での展開も進んでいます。と同時に、僕らと同じように挑戦をする、海外のフレグランスブランドの仲間もできました。この店では、彼らの香水も紹介していきます」

 凛としたボトルが並ぶ店の奥には、バースペースがあり、夜になるとバーテンダーがカクテルを提供する。なぜカクテル? 再び疑問が頭に浮かぶ。

 「カクテルをイメージした香水があるからです。香水の新しい楽しみ方として、カクテルのペアリングを思いつきました。店周辺には、飲食店も多く夜はにぎわいます。けれどその一方で、昼は外から訪れる人が少ない。この街の昼と夜をつなぐ助けとなるような店にもしたいんです。バーはそのための仕掛けでもあります」

 粋な心意気。洗練された香りの奥に潜むものの正体が、見えた気がした。

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葛和さんは、ブランド立ち上げ準備時から神楽坂での出店を構想。街に通いつめ、9年越しでこの物件に出合った。店が入る建物は、築80年ほど。その歴史をいかし、土壁はそのまま残した。

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《エディット》のファウンダー兼クリエイティブディレクターにして、創業120年の朱肉メーカーの6代目となる葛和さん。香水をもっと日常的なものにすべく、今後もさまざまな仕掛けをしていきたいという。

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モヒートをイメージした「ローズモヒート」や幻の東京庭園をイメージした「ジャルダン トウキョウ」(いずれも2万2000円/50ml、6710円/7.5ml)など、香水のラインナップは全11種類。

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お茶をイメージした香水「スーチョンジャーニー」と「アールグレイ」の香りは、姿を変えて紅茶(1万230円)としても販売。7.5mlの香水とセットになっていて、大切な人への贈り物としても。

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店内には、モリヤマが代理店を務めるニッチフレグランスブランドの香水も並ぶ。写真は香港の「TOBBA PARFUM(トバ パルファン)」の香水。ほかにリトアニアの「FUMparFUN(ファム パルファン)」もある。

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モリヤマ《日光印》の練朱肉は、自然環境に配慮して有機顔料のみでつくられる。この朱肉に配合されている香料が《エディット》のルーツでもあり、今後は店内で朱肉を販売することも考えているという。


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ĖDIT(h)’s concept store and Fragrance bar(エディット神楽坂フラッグシップショップ)

新宿区神楽坂3-2 SunPlace本多横丁 1階
[営]13:00〜23:30 ※BAR営業は18:30から
[休]月(BARは日・月定休)
https://edithtokyo.com
@editfragrances





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