あの人みたいになりたい、と思うことはあるだろうか。自慢じゃないが、私はかなりのワナビー(なりたがり)体質なので、憧れた人は数知れずという人生を送ってきている。
大人になるとロールモデルがいなくなる、とよく言われる。若いころは憧れの対象たり得る人がさまざまいたのに、ある程度の年齢を超えると、一気にその数が減ってしまうと。これはメディアでスポットライトを浴びる人─ドラマの主役や雑誌の表紙など─が、若い人である場合が多いということが、大きく影響していると思う。私にも「若い子ばかりを持てはやす日本の文化ってなんだかな。フランスなんて大人の女性こそが素敵って言われるのに」などと、偉そうにうそぶいていた時期がある。
けれども50代手前で相変わらずワナビー全開のいま、思う。なんだ、ロールモデルは大人になってもいるじゃんと。むしろ、よりどりみどりという気がする。
とはいえ、若いころとは何かが違うのも事実だ。考えてみると、より自由な視点でロールモデルを探せるようになっている。若い頃は、自分より年齢が上、あるいは同世代の人をロールモデルにしやすかった。いまの自分の延長にその人が存在しているようなイメージで、ロールモデルと自分自身の属性が近かった。もちろん憧れの遠い存在だけれども、素直にまるごとああなりたいと思えていた。
しかし大人になると、それまでどう生き、未来にどんなビジョンを持つか、これがあまりにも人によって多様化していく。だからひとりの人をまるごと追いかけるのは難しくなる。そのかわり、トピックスごとにロールモデルを探すことができるようになる。メイクアップやヘアスタイル、ファッション、表情、姿勢、感性、生き方、佇まい。それぞれの理想を探していい。そしてロールモデルの条件が「同世代あるいは少し上の同じ属性の人」である必要はまったくなくなる。うんと若い人の価値観に惚れ惚れすることも、大先輩の所作に息を呑むこともある。植物や動物の在り方に感心することだってあるだろう。師は至るところにいる。
大人は成熟のかたちが多様だから「憧れの芸能人ランキング!」みたいに、単純な長者番付を作るのは難しいのだと思う。そしてメディア外に素敵な存在が見つかることも多くなる。行きつけのカフェに、公園に、古い本のなかに、友人のなかに。こちらから出会おうと心がけるのが大切だ。ラジオの周波数を合わせるみたいに、探す意識で世界を見る。すると突然ひょんな出会いがある。個人的には、こんな素敵な人がいるんだと驚く経験は、年齢を重ねるほどに増えている気がする。そうして素敵な存在を見つけながら、いつまでも自分の人生の可能性を広げていけるといいなと思う。
アヤナ
ビューティライター。化粧品メーカーの企画開発職を経て、35歳でライターとして独立する。培った専門知識にファッションやアート、ウェルネス視点を加えた独自の美容観でビューティを分析し、さまざまなメディアで執筆。近著に『仕事美辞』(2024年双葉社)。「エモ文」文章講座も開講中。永遠のロールモデルはパティ・スミスです。
30年以上前から女性の健康とともに歩み、研究開発をつづけてきたロート製薬は、女性ならではのからだの変化・不調に向きあう商品や、正しい知識を発信中。「女性ホルモン」と生きるあなたの、からだだけでなくこころにまで、そして、目に見えるものだけでなくカタチのないものにまで寄り添う存在として、“モンモン”を、“ルンルン”にしていくパートナーを目指しています。
ロートフェムケア公式サイト
https://jp.rohto.com/rohto-femcare/