ヨハネス・フェルメール《ワイングラス》1661-62年頃  ベルリン国立美術館 © Staatliche Museen zu Berlin, Gemäldegalerie / Jörg P. Anders

《上野》日本美術展史上最大の「フェルメール展」開幕 『牛乳を注ぐ女』など傑作9点を展示する"奇跡"の光景


 美しい女性の表情や穏やかな日常の風景を精緻な陰影をつけて描き、「光の魔術師」といわれるオランダの画家ヨハネス・フェルメール(1632-75)。現存する作品がわずか35点といわれる、寡作の画家の代表作『牛乳を注ぐ女』など傑作9点(期間限定2作品を含む)を展示する日本美術展史上最大級の「フェルメール展」が10月5日(金)に、上野の森美術館で開幕しました。
 注目は画家の作品のみを一堂に集めた「フェルメール・ルーム」。窓から注ぐ日差しのもとで行う日常の所作を印象的なシーンに昇華した『牛乳を注ぐ女』や、鑑賞者を見つめるようにほほ笑む『手紙を書く女』など代表作が1室に並ぶ、豪華な光景は圧巻です。
 日本初公開3点のうち、『ワイングラス』は暗示的な作品です。ワインを勧める男性の横でグラスを傾ける女性の視線の先には、ステンドグラスが描かれています。グラスに表れる馬具を持つ女性は「節制」を表すとされ、色恋沙汰を戒める寓意があると考えられています。世俗的なテーマを、画家らしい気品のある筆致で描き出しました。

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ヨハネス・フェルメール《牛乳を注ぐ女》1658-60年頃 

アムステルダム国立美術館 Rijksmuseum. Purchased with the support of the Vereniging Rembrandt, 1908RIJKS_LOGO.jpg

 今回はフェルメールも含め、17世紀のオランダ絵画約50点を展示。無料貸し出しとなる音声ガイドは女優の石原さとみさんが登場し、視覚のみならず、聴覚でも美しさを体験できます。光の魔術師の作品が起こす〝奇跡〟の光景をお見逃しなく。

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