日本の金融の中心地、東京証券取引所。少し歩くとにぎやかな茅場町や人形町の街並みにたどり着きますが、近隣はお店が少なく不思議なほど静かです。そんなひっそりとした東証の横道に、伝統のフランス料理に真正面から挑み、革新をも感じさせる「アサヒナガストロノーム」がオープンしました。
店名はシェフの朝比奈悟氏の名に、フランス語で美食家を意味する「ガストロノーム」を加え、「グルメな人々が集う場所」の意味を込めています。白と銀色を基調としたシックながら華やかなインテリアのなかで味わえるのは、「料理を奥深く追求する」という朝比奈氏の姿勢を表したメニューの数々です。
クラシカルな鶏肉のスフレは胸肉とともに、マッシュルームのデュクセルを挟みました。ムースリーヌでコーティングしたスフレ生地は、シュプレームソースで仕上げています。
さらに、本場で「残すのはおろか」とも言われる希少部位ソリレスなどを添えました。ふわふわのスフレと筋肉質な胸肉の重層的な食感に、濃厚なソースや、フォアグラ、キノコの香りが調和し、繊細かつ深い味わいを生み出す絶品の一皿です。
世界的なデザイナーが手がける「moooi」のシャンデリアが、白と銀色を基調にしたインテリアに華をそえている。
ほかにも、ソース・ア・ラメリケーヌを添えた活オマールブルー(エビ)、豚の膀胱(ぼうこう)に食材を詰めて調理する幻の一皿「プーレ アン ヴェッシー」など古典的な料理に現代的な解釈を加えたメニューは、近年のモダンフレンチと一線を画す”本物”を体験させてくれます。
朝比奈氏は、最高の料理人と評される故ジョエル・ロブション氏と13年間ともに働き、ミシュランの2つ星を7年間保持する恵比寿の「ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション」で料理長を務めた愛(まな)弟子です。「料理への姿勢や人間性まで見抜く力がある方だった」というロブション氏のもとで、「どうしてこのソースなのか、この付け合わせなのか、すべて論理的に解釈できなければ一つの料理は仕上がらない」という徹底的な姿勢を習得しました。
料理はもちろん、インテリアやテーブルセッティングまで、「伝統の継承と現代の革新」という朝比奈氏のこだわりが詰まった新たなガストロノミー。その登場で東証というお堅いイメージの強い日本橋兜町が、美食家でにぎわう場所へと変貌するのも時間の問題かもしれません。
シェフの芸術的なセンスが光る「活帆立貝 ガルムの香るクレソンのクーリと合わせ そのチュイルにアボカドのワッカモーレを添えて」
ASAHINA Gastronome(アサヒナガストロノーム)
中央区日本橋兜町1-4
ランチ 12:00~15:30(L.O.13:30) ディナー 18:00~23:30(同20:30)
03-5847-9600