20世紀前半にドイツで製作された食料品店のドールハウス。来店客の要望を聞き、引き出しの中から商品を出して売っていた

《横浜》憧れや夢が詰まったミニチュアの世界を楽しむ「ドールハウス展」


 小さな家の中にミニチュアの家具や衣装、玩具などを置いたドールハウスを集めた企画展「ミニチュアドールハウス展~ちいさなちいさな世界のおおきなおおきな夢の世界」が、人形専門の博物館「横浜人形の家」で開かれています。

 ドールハウスは、16世紀のオランダ、ドイツ、イギリスなどの上流階級の家庭から広まり、コレクションとして収集する人や、子どもが生まれるとお祝いに製作した家庭もあったようです。今回の展示では、イギリス、ドイツ、日本などで19世紀から20世紀後半まで作られたドールハウス20点を展示しています。

 7つの部屋に、ベランダが付いているヨーロッパの邸宅を表現した「ドールハウス」は、高さ165センチ、幅135センチ、奥行き90センチの大きなもの。ティールームや子ども部屋など、それぞれ違う壁紙が貼られた部屋に飾られた皿や絵画、ティーテーブルの花、玄関口に寝そべる犬、見ているだけでワクワクしてしまいます。製作年代ははっきりわからないそうですが、20世紀前半のものでイギリスかドイツで作られたと推測されています。

 また、ドイツで作られた「ドールハウス食料品店」は、20世紀前半当時の店の様子をうかがい知ることができます。店の奥にある棚の上に色とりどりの瓶が並び、それぞれの引き出しには食品名が書かれています。店先にたくさんの肉がぶら下がっているのは「ドールハウス肉屋」。1875年から1900年代にイギリスで製作されたもので、当時のイギリスの肉屋はこんなに豪快に肉をぶら下げて売っていたのかと感心してしまいます。

 今回の展示では、日本製のものも多く見ることができます。台所のミニチュアやお面が売っている屋台など、江戸時代の生活が偲ばれるものが多く、一つ一つ眺めていると時間が経つのも忘れそうです。

 広報担当の山田浩司さんは「一般家庭のドールハウスだけでなく店のドールハウスもこれだけある展示は、他ではあまり見かけないはず」と話しています。

 憧れや夢が詰まった小さな世界に心が躍る企画展です。

高さ165cm、幅135mの大きなドールハウス。ティールームや子供部屋などがあり、壁紙、家具、道具などが細かく作られている。製作国は不明だが、20世紀前半の作とみられる


19世紀から20世紀にかけて英国で作られた肉屋のドールハウス。壁掛け用に作られており、中央には見習いの少年がみえる


20世紀前半に日本で作られた台所のミニチュア。当時の暮らしの様子がわかる


横浜人形の家

住所:横浜市中区山下町18

開館時間:午前9時30分~午後5時(最終入館は午後4時30分)

8月中は土・日・祝日は午後6時まで。月曜休館

入場料:高校生以上200円、小・中学生100円


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