「CARMINA CAMPUS」のデザイナー、イラリア・ヴェントゥリーニ・フェンディさん

《日本橋》廃棄材料を再生させたブランド「CARMINA CAMPUS」の魅力


 廃棄材料や処分品を再利用し、おしゃれでラグジュアリーなバッグやアクセサリーに生まれ変わらせたブランド「CARMINA CAMPUS」(カルミナ カンプス)のデザイナー、イラリア・ヴェントゥリーニ・フェンディさんがこのほど来日し、東京・日本橋の日本橋高島屋でトークショーを開きました。

 イラリアさんはその名の通り、イタリアのラグジュアリーブランド「FENDI」(フェンディ)の創業一族の出身。靴やバッグ、アクセサリーなどの若者向けブランド「フェンディシメ」のデザイナーとして長く活躍してきました。「生まれたときからクリエーティブな世界に触れる機会があったので、ファッション業界に進むことは当然の流れでした」といいます。同時に、「新しいコレクションを発表してもすぐに次のことを考えないといけない。あわただしい生活に疑問を抱き始めました」と話してくれました。

もの作りについて語るカルミナ カンプスのデザイナー、イラリア・ヴェントゥリーニ・フェンディさん(前列中央)

 そんなイラリアさんは2003年、ファッション業界を退いてローマ近郊のオーガニック農場の経営を始めました。生活のリズムを取り戻す中でバイオロジーや生物の再生について学び始めましたが、「農場経営を始めても、私はファッションの家に生まれたので、クリエーティブなものから離れたくないという気持ちがありました」と振り返ります。

 そこで、生産ラインから外れた処分品や未使用のデッドストック、倉庫の片隅で眠っていた廃棄材料などさまざまな素材をバッグに蘇らせることを考案します。廃棄材料をイタリアの職人の高い技術によってスタイリッシュに生まれ変わらせた「イタリアライン」と、素材の調達から縫製までほぼすべての工程をアフリカで行う「アフリカライン」の2つを柱にしたものづくりを始めたのです。

ナチュラルラインのバッグ。2万1600円、3万2400円、2万8080円(左から・いずれも税込み価格)

 また、2015年秋冬から展開するラインに「CARCERE」(カルチェレ)があります。CARCEREは直訳すると刑務所。刑務所から出所したものの再び犯罪に手を染める元受刑者が多いという社会問題を背景に、イラリアさんは「再犯を防ぐためにも手に職を持って自立できるようにするプロジェクトです」と説明しました。

 2016年春夏で初めて展開する「Natural Line」(ナチュラルライン)と、15年秋冬から展開している「Vibram Line」(ビブラムライン)については、実物を手に取って説明。とくにナチュラルラインは、ガーデニングをコンセプトに高島屋限定で製作したそうです。また、ビブラムラインは、イタリアの靴底メーカー、ビブラム社からあまった端材を引き取り、一度溶かしてバッグに作り直しているそうです。

ビブラムラインのバッグ。(前列いずれも)6万5880円、(後列左から)7万6680円、7万200円、7万200円(いずれも税込み価格)


 トークショーの最後、イラリアさんは「私の活動を理解してサポートしてくださる人がいて、はじめてバトンを回していくことができます」としみじみと話していました。

(写真上)「ナチュラルライン」のバッグを手にお客様と交流するイラリアさん=横浜高島屋

(写真下)日本橋高島屋で行われたトークショーに臨むイラリアさん 




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