オーギュスト・ロダン「接吻」1901-04年 Purchased with assistance from the ArtFund and public contributions 1953 image ©Tate, London 2017

「ヌード」展 横浜美術館 時代の価値観映す鏡


 熱く抱擁し、愛を確認し合う男女。かつて武者小路実篤ら白樺派の人々が一目見たいと切望したというオーギュスト・ロダン作、大理石像の「接吻」が初来日した。横浜美術館で始まった「ヌード」展の目玉だ。

 モチーフはダンテ『神曲』の「地獄篇(へん)」に登場するフランチェスカ・ダ・リミニと、夫の弟パオロ・マラテスタの悲恋。かの有名な「考える人」同様、フランスの偉大な彫刻家、ロダンは名作「地獄の門」を構想する中で「接吻」の造形を生み出し、1887年に発表した。その後制作されたブロンズ像の「接吻」は日本でも数点所蔵されているが、大理石像は世界に3点のみ。今回展示されているのは英テートが所蔵する1点だ。

 生身の肌を思わせる艶やかさは大理石ならでは。筋肉が躍動する男性の背中、女性の柔らかなライン…。間近で見る像は等身大より大きく、想像以上に官能的空気をまとっている。彫刻家が古典の一場面を超えて、より普遍的な愛の悦(よろこ)びを表そうとしたのは明らかだ。ロダン自身と、その助手で愛人だったカミーユ・クローデルとの関係を連想する人も多いだろう。

アンリ・マティス「布をまとう裸婦」1936年 Tate:Purchased 1959 image ©Tate, London 2017


http://www.sankei.com/life/news/180401/lif18040100...





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