住宅街に展示されている富士山の銭湯絵。自由に写真が撮れる期間限定の珍スポットです。

《阿佐ヶ谷》住宅街に富士山出現?!銭湯絵と写真が撮れる!15日(日)まで期間限定の珍スポット

ODEKAKE, CULTURE

 JR阿佐ヶ谷駅北口から中杉通りを北へ歩くこと約5分。住宅街の駐車場にドンと鎮座している富士山の銭湯絵に思わず目を奪われます。抜けるような青空に映える富士山の雄大さ、青々とした海、厳しい岸壁に立つ白亜の灯台。横250センチ、縦130センチとなかなかの大きさです。普段は服を着て見ることなんてない銭湯絵の〝場違い〟さに、思わず記念写真を撮りたくなります。サインを見ると、日本に3人しかいない銭湯絵師のうちの一人、丸山清人さん(82)の作品らしい。いったい誰が、なぜ、こんなところに-。

#銭湯絵を展示している阿佐谷クリニック院長の中山美子先生

 早速駐車場裏にある医院「阿佐谷クリニック」の中山美子院長(54)に話を聞いてみました。「実は半年に1回、丸山さんにここで銭湯絵の公開制作イベントをやってもらっているんです」。現在展示されているのは、1日(日)に制作された作品で、なんと3作品目。「毎回200人くらい見に来てくださいます。地域の皆さんも楽しみにしてくれているんですよ」。

 実は、無類の銭湯好きという中山先生。「銭湯に入ったことがない人にも興味を持ってもらいたい」と昨年10月から丸山さんに依頼し、公開制作イベントを始めたそうです。もちろん観覧無料。銭湯絵師歴約60年という大ベテランの丸山さんが刷毛を操ると、真っ白なアクリル板にたった2時間半ほどで富士山のペンキ絵が完成します。

#公開制作する丸山清人さん。日本に3人しかいない銭湯絵師の一人で、約60年のベテランです。

 寒い日にはカイロや甘酒を配ったり、銭湯仲間が銭湯の魅力を語ったり、玉すだれや紙芝居などの催しをしてくれたり。回を追うごとに盛り上がり、かき氷やわたあめを作ってくれる人まで現れ、今ではすっかり地域のお祭りのように定着しました。絵はイベント後しばらく駐車場に飾り、自宅に保管するそうです。「壁に飾りきれなくなったら今度は天井に。楽しみにしてくださる方もいるし、場所がある限り丸山さんに描いてもらいたいんです」。次回は来年5月ごろを予定しているそうです。

#1日に丸山さんの制作風景を見守るたくさんの人々。すっかり地域の恒例イベントです(一部画像を加工しています)

 イベントの盛り上がりもさることながら、なぜそんなに銭湯絵を集めるのでしょう。中山先生には、40年以上地域医療に携わってきた医師ならではの、大きな夢がありました。「いつか、温泉に行きたくても行けない、高齢の方が家族や介助者とリラックスして入れるような小さな銭湯をやりたい。絵はそのとき壁に飾りたいんです」。高齢の親を遠方の温泉地に旅行に連れて行くという患者もおり、「もっと気軽に頻繁に入れてあげたい。広い湯船でゆっくり入れば、いろいろな年代の方とも話ができ、温まり方も違いますよね」と熱い思いを打ち明けてくれました。

 丸山さんも「地域の方や若い人に知ってもらえるのがうれしいですね。お風呂屋さんに行くきっかけになれば」と語ります。銭湯絵師のなかでも最年長。絵を描く際には、すっきりとした構図と、明るい色使いを心がけているそうです。浴場組合など銭湯関係者から依頼されての公開制作は少なくないが、一般人から頼まれるのは初めてなのだそうです。

 施設の老朽化や経営者の高齢化で銭湯の廃業が相次いでいる昨今。背景画を持たない銭湯も増えているそうです。それでも「元気のあるうちは描けるだけ描きたい。生涯現役です」と力強い。14日(土)にも、東京・大田区の名産品や商業を紹介するイベント「おおた商い観光展2017」で公開制作を行い、銭湯文化を発信する予定です。


■■銭湯絵展示(~15日まで)■■
【阿佐谷クリニック裏駐車場】
場所:東京都杉並区阿佐谷北1-41-5
時間:9:00~18:00

■■丸山清人さん公開制作情報■■
【おおた商い観光展2017】
14~15日(10:00~17:00、入場無料)
※公開制作は14日(土)11:00~(※雨天決行)
場所:東京都大田区南蒲田1-20-20大田区産業プラザPiO




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