Text=HIKARI TORISAWA , euphoria factory  Photography=TOMO ISHIWATARI , SHOTARO EBARA 

今日、何してた?日記って、おもしろい。[日記って、おもしろい。]


 数年前から日記本のブームが続いている。日記専門の書店や図書室も注目を集め、個人の記録をひらく文化も広がりつつある。手帳やノートに綴る、アプリに書く、SNSで記録するーー。人はなぜ、日々を書き残すのだろうか。作家やクリエイターへのインタビューを通し、その営みのおもしろさや、書くことで見えてくる自分との関係を探る。あわせて、日記を書く時間が楽しみになるステーショナリーも紹介。やっぱり日記って、おもしろい。


 

なぜブームになっている?
日記を書く、読むということ。

 日付を記し、その日にあったことを綴る。日記本やZINEを多く扱い、自社で刊行もする〈twililight〉で日記を書くこと、読むことの楽しみについて話をきいた。

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twililight
住|東京都世田谷区太子堂4-28-10 3F
営|12:00~21:00
休|火曜、第1&3水曜
@twililight_


今の時代に自分を見つめ直し
“書くこと”を個人の手に取り戻す。

 「“書くこと”をより身近にしてくれたのが日記なんだと思います」と語る熊谷充紘さん。三軒茶屋で書店&ギャラリー&カフェ〈twililight〉を営み、大崎清夏やきくちゆみこの日記本を版元として刊行。2022年春の開業直後からさまざまな日記本を扱い、個人の日記ZINE*の店頭販売も続けている。

 「日記というジャンルは、作家という選ばれた人だけが書くのだという思いこみのようなものを打ち消して、ひとりひとりのもとに“書くこと”を取り戻してくれました。100年前に書かれた『ためさるる日 井上正子日記1918-1922』や、平安時代の『更級日記』もそうですが、日記には時代を超えて読める楽しさがあります。生きる時代が違っていてもよく似たことを考えているというのがまずおもしろい。それ以上に、人の考えや日常には違いがあり、ひとりひとりがバラバラなまま生きていると実感できるのは、そこに生活が書かれているからこそですよね。今という時代にあって自分を見失わず、大事にしていることや感じたことを書きつけることで自らを守る。自分を取り戻すそのための領域になっているんじゃないかと考えています」

 大正時代の女学生が遺した6冊の日記を翻刻した『ためさるる日』に、「私のする一つ一つの行動が 私の一生の歴史を作るのだもの」という一文がある。

 「大文字の歴史ではなく、個人の暮らしが歴史を作っていくんだと思い出させてくれる言葉です。ここに私がいるよ、と著者が書き残してくれたから100年後の僕たちが読み、知ることができた。同じように、僕たちが書く言葉も未来に残っていくかもしれないし、近い経験をする人や悩みをもつ人に届くかもしれないんですよね」

 熊谷さんが編集を手がける〈twililight〉の発行物にもいくつかの日記本がある。

 「詩人である大崎清夏さんの『私運転日記』は、16年ぶりに一人暮らしをはじめた大崎さんが、どうやって生きていこうかを考え、自分をもう一回縫い合わせるように記したものを1冊にまとめました」

 きくちゆみこ『人といることの、すさまじさとすばらしさ』は、前作『だめをだいじょぶにしていく日々だよ』と同じく、ウェブマガジンの連載を単行本化した。

 「きくちさんの新たな生活が始まったので、その変化を記録するには日記があっているのではと考えました。書くという行為は、現在進行形の日々のなかで立ち止まる時間をくれる。それによって、人や物事から距離をとって振り返り、見つめ直すことができる。ケアフルでいさせてくれる。日記を書くことによって生じるタイムラグがもたらしてくれるものって大きいと気づかせてくれたのがこの本です。僕にとっては店のアカウントで毎日SNS投稿するのが日記がわりで、自分が何を考えているのか、何がしたいのかを知るいい機会になっています」

*個人や少人数で自主制作・発行する冊子

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6月22日まで、青木隼人『ギター日記』刊行記念展を開催中。期間中、ギター演奏や朗読などのイベントも。


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熊谷さんオススメの日記本

 上から、江國香織が現代語訳を施した『更級日記』(菅原孝標女著、河出文庫)、大崎清夏『私運転日記』(twililight)、きくちゆみこ『人といることの、すさまじさとすばらしさ』(twililight)、京都の住職・井上迅が、寺で発見された大伯母の日記を翻刻した『ためさるる日 井上正子日記1918-1922』(法藏館)。


メトロポリターナ読者にきいた!
日記にまつわるアンケート

Q.1 ふだん日記を書いていますか?

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回答してくれた800名中、260名が日記を書いているそう。そのうち約半数の134名が毎日書いていると回答。


Q.2 どんなツールで書いていますか?
(複数選択可)

1. 日記帳・手帳
2. SNS・ブログ
3. ノート
4. 日記アプリ
その他(スマホのメモ、カレンダーなど)

紙の手帳やノートに筆記具で書いている人が多い一方で、SNSでの投稿を日記代わりにしている人も増えている。


Q.3 どんな内容を書いていますか?
(複数選択可)

1. その日にあった出来事
2. 感じたこと・気持ち
3. 旅行・お出かけの記録
4. 食事・料理・外食の記録
5. 家族や友人との出来事
6. 健康状態や体調の記録
7. 趣味や推し活の記録


Q.4 なんのために書いていますか?
(複数選択可)

1. その日の出来事を記録しておくため
2. 気持ちや考えを整理するため
3. 忘れたくない思い出を残すため
4. 後で振り返る楽しみにするため
5. 健康や生活習慣を管理するため
6. 日課・習慣として続けているため

*Q2以降は、Q1で「はい」と答えた人のみの回答です。
出典:metropolitana4月号読者アンケートより

 





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