「今シーズン、うちの押しはサステナ系ですね」と話す109系某ブランドのPR。サステナ系=サステナブルなアイテム、ということですね。夏真っ盛りではありますが、ファッション業界は秋冬コレクションの展示会シーズンです。コロナ禍で延期になったり、リモートや、人数を制限した会場で開催されているファッションブランドの展示会。そのあちこちで今回聞くのが、冒頭の言葉です。なんでもかんでも略すのがこの業界の悪いクセですが、なるほど、すっかりSDGs( 持続可能な開発目標)も一般的なキーワードとなったんだなあ、と感動します。ちょっと前までは一部の意識高い系界隈で語られがちだった「サステナブル」という言葉も「#サステナ系」となれば、かなりメジャーな感じです。
このコロナ禍の中で、ファッション業界も大変化の時期を迎えております。感染を避けてリアルショップに行けない問題に、海外有名デパートやブランドの倒産。また世界で開催されているファッションショーもオンライン開催に変更したり。コロナも水害も、かつて経験のないようなことばかりが次々と起こる2020年。そんな折だからこそ、ファッション業界も持続可能な仕組みを実現するための課題に直面し、シフトチェンジが加速しているようです。
このサステナ系。具体的には、エコレザーやエコファー、土に還る生分解100%素材などの活用や、海洋ゴミからスニーカーをつくったり、不要になったダウンをリサイクルするといった、環境問題を意識したアクションが増えています。
残念なことに、世界で2番目に環境汚染をしているのがファッション業界と言われております。過剰な生産量と、売れ残り廃棄問題がここ数年問題視されているのです。大量消費の時代から少量消費時代へと移りつつあって、大量生産型の今までのスキームでは立ち行かなくなっているのです。なによりも変化したのは消費者の意識。コロナ自粛中に断捨離をした人も多いと思います。私自身も引っ越しを機に、かなりのモノを断捨離しました。人にあげたり、リサイクルに回しても、やはり捨てるものがあると心が痛みます。次に買うものは絶対捨てないものにしようという思いが強くなります。
そして、この環境問題への意識は若い世代ほど強いようです。これから自分たちが生きる地球の将来に、不安をより感じるのは当たり前。それだけに、令和ギャルたちも「うちらサステナ系だから」という選択をしているように感じます。たとえばこの秋流行りそうなのがエコレザー。フェイクレザーとどう違うの?と言われますが、製造過程で汚水を出さないなど、環境に配慮した基準を満たしたレザー(天然皮革)のことです。 また、ステラマッカートニー のように一切の動物由来の革製品を使わないブランドも支持されています。そのステラの前回のショーでは、ウサギや牛などの着ぐるみがランウェイに登場しました。単に環境破壊や動物愛護を訴えるのではなくて、動物や地球との共存を提案するハッピーなショーだったのです。このように、拳をあげて環境問題を語るのではなく、地球と自然と優しく共存する、カジュアルなサステナビリティがこれからの主流になりそうですな。
THIS MONTH'S CODE
#SDGs(持続可能な開発目標)
2030年までに達成を目指す17のゴール、169のターゲットのなかで、ゴール12の「つくる責任つかう責任」がファッション業界にも必要なこと。
#世界で2番目に環境汚染
1位はもちろん石油業界。服をつくるときに出る汚水や、輸送や廃棄処理の際の排出などが環境を汚染していると言われている。
#ステラマッカートニー
イギリスのファッションデザイナー。動物愛護の観点から、いち早く非レザー、非ファーの方針を貫いている。