illustration: Shogo Sekine

#横丁ブーム再燃か!?《東京#CODE》


 9月の連休あたりから、街に人が戻ってきた感があります。その後GO TOキャンペーンの東京解禁もあって、場所によっては前年並以上に人があふれております。もちろん、新しい生活様式を保ちながら。これもすっかり慣れましたね。リモートワーク中心の生活から、週3、4日出勤へと戻り始めた会社が多いようです。

 Zoom会議に飽きた頃、打ち合わせ兼食事のために虎ノ門ヒルズの「虎ノ門横丁」に行ってきました。ここは都内の名店が集まった横丁。新宿の「鳥茂」など日頃私も大好きな店が勢揃いということもあって、ワクワクしたのです。とはいえ、このコロナ禍の9月の平日21時。ガラガラじゃないか、という思惑で予約なしで横丁に入ると、な、な、なんと、どこもかしこもお店はお客さんでいっぱいです。ようやく知り合いがいるTAMAで席を確保。ふえーーー! なんだ、みんな飲んでいるじゃん! しかも、周りを見渡すと、平均年齢は明らかに20代。とにかく若いのです。虎ノ門ヒルズのオフィスタワーに入った広告代理店、レガシー系&グローバル企業のサラリーマンがメインターゲットだったような。あとは「アンダーズ東京」や「東京エディション虎ノ門」などのグローバル最高級ホテルに来るリッチなインバウンド狙いだったような。しかも五輪開催が延期となりインバウンドがほぼゼロというときに、この活況! 観察すると、実際にここに来ているのは白Tシャツを制服とするようなスタートアップ系&クリエイティブ系(と思われる)男子。そして女子は、乃木坂46と櫻坂(旧・欅坂)46風の服装。ハイヒールバリバリの女性は少なく、フラットシューズ、またはスニーカー。何度も言いますが、ここは虎ノ門。ちょっと足を延ばせば、そこは居酒屋大好きおじさんの聖地、新橋です。なのに、スーツ&ピンヒール族はほぼ皆無。カジュアルなんですよ、服装も髪型も雰囲気も。来ている女の子に聞くと、虎ノ門で働いていない、近辺のエリアからの遠征組ばかり。

 そして、横丁ならではなのですが、オープンナンパが大盛況。以前このコラムでも書きましたが、あの銀座コリドー街のような雰囲気なのです。スーツ族が少ないところは、ちょっと前までの恵比寿横丁みたい。横丁ブーム、再燃ですね。横丁のよさは、小さなエリアに個性的なお店がひしめき合って、のれん越しにお客さんや店の雰囲気が覗けちゃうこと。横丁は冷やかしながら店を選べるのがいい。また、ちょっと飲んでほかの店にホッピング。一晩で3、4軒ハシゴだってできちゃう。店構えがしっかりしているお店は、入ってみないとどんな人がいるか、美味しいのか不味いのかわかりづらかったけど、一箇所に定着せず、色々試しちゃえることがイマドキです。これって、働き方や、住み方、生き方に通じると思いませんか? トライ&エラー。ナンパも同じ。お店の仕組みも横丁内のセラーでナチュラルワインを買ってきてもいいし、各店の一品を持ち寄れる寄合席があるなどという太っ腹。固定よりシェア。いま渋谷ですごい集客をしているMIYASHITA PARKにできた「渋谷横丁」も同じですね。

 リアルで人とつながれなかったからこそ、いまこそつながれる場所へ。横丁ブームはしばらく続きそうです。

 

THIS MONTH'S CODE

#虎ノ門横丁

タベアルキスト、マッキー牧元氏プロデュースで集まった名店の数々。虎ノ門横丁セラー「HAND PICKING WINE」は、ソムリエであり、青山のベトナム料理店「AnDi」のオーナーでもある大越基裕氏が監修を務める

#TAMA

「Ryukyu Chinese Stand TAMA」。渋谷二丁目にある琉球チャイニーズの名店の支店。本店は筆者の行きつけでもあります。

#渋谷横丁

MIYASHITA PARKの1階部分にできた横丁。日本全国の郷土料理の数々が味わえる。24時間営業(現在は一部店舗のみ)で近接するのんベい横丁と合わせて一大人気エリアに。





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