先日、友達(男)とその友達(男)と飲んでおりました。「こいつ、少女時代完コピできるんすよ」という彼は、すらっと細身の今どきな男子。LDH系で男臭いというより、若干中性的。じゃあ、みんなでカラオケに行こうとなり、さっそく彼のオンステージに。いや、なめていました。「Taxi」も「Gee」も振り付けがパーフェクト! う、うますぎる。聞けば学生時代からサークルで踊っていたそうです。学祭でもひっぱりだこ。そのときのムービーを見せてもらいました。ミニスカートやショートパンツ。へそ出しまでして、脚もとはストッキングにハイヒール!「いや、メンバーで足が大きなやつは女装専門の店で買ってましたよー」と。気になるのは彼のセクシャリティです。「え?? ゲイだっけ?」と聞くと「いやいやいや、めっちゃ女の子大好きです!(笑顔)」だそうです。
じゃあ、女装は趣味ってこと?? 「そうですねー、女装はまりました。ヒゲも、ワキも、すね毛も剃りますし」。ふむふむ。「ストッキングはいた自分の脚が好きなんですよー」。確かに、すっごい美脚です。「段々、美への追求が強くなって、ステージ前にはダイエットもします。お肌のお手入れもパックしたり、保湿クリームを塗ったり結構努力してるんです」。
ふううううううむ。確かにお肌もつるつるです。感心している私に冒頭の台詞が飛んできました。「いや、女装男子って、ぶっちゃけもてるんですよ」。ほーーーーーーー!
今回気になったのは、女子にとっても、女装男子はセクシーだってこと。昨年公開になったフランソワ・オゾンの映画で『彼は秘密の女ともだち』という作品があります。これはあるきっかけで女装を始めた完全ノンケの”彼女“との間に生まれる友情と愛の物語。”彼女“との関係は、時には女友達の親密さで、ときに異性愛が混じって、複雑だけどなぜか二人が惹かれ合うのがすごくわかるのです。
女装男子は女子にとって、とても近づきやすい存在なのかもしれません。普通のノンケ男子とは、接近するだけでいろいろ面倒くさいけど、好き!って思ったら腕を組んで歩けちゃう。ぐっと距離が近いというのもあるかもしれません。悩み事を相談してもいいし、女装アイテムを一緒に買いに行ってもいいし。そこは女友達の気楽さで。
一方でゲイ友が多い女子がいます。いわゆる「おこげ」ですね。これも理由は一緒です。ただし、おこげとの関係はあくまでも”同性“ですから、恋愛には発展しません(ややこしくなってきた)。女装男子は普段は男の子。ちゃんと恋愛に発展するしHに持ち込みやすい。相手が男子であれば、女子は待ちの姿勢になります。でも相手が女子マインドであれば、女子からモーションかけるのもちょっとレズ気分でありなのかも。こういった倒錯の世界はマイナーなことかな、と思っていましたが、結構普通に起きていることみたい。
で、なにが言いたいのかというと、そろそろハロウィーンじゃないですか。男子、ときどき女子くらいがハイブリッドでいいということ。男子社会はなかなか窮屈で、そのあたりをイマドキ男子は気づいているのですね。だから、もしも今年のハロウィンに彼が女装をしたいと言ったら、「よしよし♡」と言って女のゆとりを見せてくださいませ。
ぐんじさゆみ
『ViVi』『GLAMOROUS』を経て、コンデナスト入社後『GQ JAPAN』編集長代理を務めた後、『VOGUEgirl』を創刊。2014年7月より『Numéro TOKYO』に参加。gumi-gumi主宰
THIS MONTH'S CODE
#LDH系
EXILE、三代目J SOUL BROTHERSなどオレ系男子の潮流。美少年でまとまったジャニーズ系とは一線を画す。
#フランソワ・オゾン
代表作『スイミング・プール』『8人の女たち』などフランス映画でおしゃれ系で、ちょっと倒錯が入った恋愛を描かせたらNo.1。本人はゲイを公言している。
#おこげ
ゲイの友達を持つ女子のこと。多くは新宿2丁目に生息。