先日の女子トイレの会話。「○○ちゃんって、やっぱ女子力あるよねー!」「うん、インスタにこの間もおうちでつくったご飯あげていたでしょう。女子って感じ!」。ここ最近、気になっている言葉があります。そうなんです。この「女子力」って言葉。
さて、みなさん。女子力ってなんだと思いますか? 女子が女子に向かって「女子力あるね!」というときは、かわいい服を着こなすこと、かわいいチャームをバッグにつけていること、ネイルをキラキラさせていること、マツエクをしていること、携帯ケースがキャラ系なこと、というように見た目の女子度をいうことが多いと思います。でもこれが男子目線だと、飲み会で料理を取り分けること、お酒をつぐこと、さりげなくハンカチを渡すことなど、女子力=気の利く女子=お嫁さんにしたい女子、という構図になりがちです。だから、合コンではお目当ての男子に女子力を発揮したいがために、女子チームの間でお取り分け抗争がおきていることもありますね、ニヤリ。
ちょっと前になりますが、新入女子社員の過労自殺問題がおきました。そのときに彼女のTwitterが公開されたこともニュースになりました。『男性上司から女子力など注意されていた』と記事にはあります。女子力って、なんなのでしょう。男性にとって都合良く可愛く生きる力のことなのでしょうか?
いろんな女子から会社の愚痴を聞きます。大体は上司であるおじさんへの不満です。働きにくい、その窮屈さの元は縦型社会が影響しているのだと思っております。会社の中ではもちろん個人より組織が優先。最近やっと日本でも女性管理職が増えてきたとはいえ、まだ会社は男性中心。さすがに"セクハラ""パワハラ"という言葉がでてきて露骨な女性ハラスメントは減ったとはいえ、まだまだ根底にはあるんだよなーというのが本音です。
でも、インターネット社会では、今までの社会のあり方が変わります。組織だけでは生きていけません。大切なのは組織の力より個人の力です。会社だって、いつまで安定とは限らない。そういうときに会社の中だけでなく、できるだけ社外の人とネットワークを持って働ける人が力を持つ時代です。もうひとつの必須要素はコミュニケーション力です。SNSを含め、人とのつながりをつくることはリアルでもバーチャルでも大切な能力です。女子には井戸端会議も含め、人と密にコミュニケーションできる能力があります。ネットワーク力とコミュニケーション力、それこそが今の時代に求められる「新・女子力」なんじゃないかと思うのです。
そういう意味でも小池百合子さんはなかなかの女子力とみました。力強くはあるけど、やんわりとソフトに攻める力。したたかに人をまとめる力は、新しい女子の働き方を示しました。資生堂のインテグレートのCMが話題になりましたが、このコピー「生き方が、これからの顔になる#いい女なろう」はとても強いメッセージです。かわいいだけが女子じゃない。強さも、しなやかさもある働き方をする新女子力を持った人がこれから増えてきます。
「女子力ねーな!」という男性からの言葉は知らず知らずに人を傷つけます。"女子力"という圧力のない世界を生きたいと思うのです。
ぐんじさゆみ
『ViVi』『GLAMOROUS』を経て、コンデナスト入社後『GQ JAPAN』編集長代理を務めた後、『VOGUEgirl』を創刊。2014年7月より『Numéro TOKYO』に参加。gumi-gumi主宰
THIS MONTH'S CODE
#彼女のTwitter
『男性上司から女子力がないだのなんだのと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である。おじさんが禿げても男子力がないと言われないのずるいよね。鬱だ~』(出典:本人のTwitter より)
#小池百合子さん
都知事に就任してからの、ばっさばっさと都政に切り込む手腕は、旧来のしがらみが少ない女性だからできたのだと思います。これこそ、女子力!
#資生堂のインテグレートのCM
小松菜奈ちゃん、森星ちゃん、夏帆ちゃん、3人の女子が登場。このコピーは素晴らしい。