《東京#CODE》#ポリアモリー という愛の新形態

コラム

 最近友人が2匹目の猫を飼いはじめました。そのインスタが可愛くていつも和んでしまうのですが、そのハッシュタグが#多頭飼い。複数の猫を飼う事はいいこともたくさんあります。相性が悪いとストレスがかかって喧嘩して傷つけてしまう事もあるそうですが、複数愛はちょっとしたトレンドのようです。

 さて、『Numero TOKYO』の3月号で「2017年新幸福論」という取材をしました。このとき取材に伺った思想家の山口揚平さんによると、今年は「ダブルの年」なのだそうです。これからの生き方として、ひとつのものにこだわらず、3つのダブルを持つ事が幸せの鍵なのだと。その3つとは「仕事」「住む場所」「パートナー」です。

 安倍内閣が掲げる働き方改革の中に「副業・兼業の解禁」というテーマがあります。終身雇用という一本のレールではなく、副業や兼業を解禁することで、収入の安定や仕事の幅を持つということです。確かに大企業に就職したところで、すべてが安定という訳ではありません。今働いている会社が倒産したり、リストラの危険だってあるのです。会社にこだわることで、逃げ道を失い無理な仕事をしてしまうことも大きなリスク。そうならないためにも、もうひとつ収入源を持つことは、在宅仕事も増えている今、可能なはずです。

 二番目の住む場所についても、たとえば郊外にウィークエンドハウスを持つことで頭の切り替えができ、リフレッシュされて生産効率もアップします。

 そして、本題のパートナーについて。これは誤解を恐れずに言えば、今の不倫騒動も相手が一人であるべきという倫理感からこそ生まれるもの。不倫を堂々と肯定する訳ではないのですが、恋人としてのワクワと、パートナーとしての安定と、刺激を求めるラブアフェアを一人に求めることって、長年付き合うほど難しくなります。だから、もう一人の恋人、友人以上夫未満のパートナーを持つことって、お互いに楽な関係になるんじゃないかな。

 そして、これを発展させたところにポリアモリーという関係があります。訳せば複数愛、ということでしょうか。不倫とどう違うのかといえば、他に好きな人がいることを相手に伝えている、ということです。お互いが同意の上で複数の彼、彼女がいる状態ということ。相手を一人に縛ることがない分、負担は軽くなり関係が自由になります。一方で、相手を独占したくなった時に苦しむというデメリットもあります。そこも含めて、お互いの自由度を高く、そしてゆるい関係を築くことがポリアモリーな人たちです。最近複数彼女がいるけど、それはお互い了承済み、という話を20代男子から聞きました。結婚は重いけど、そういう関係が心地いいのだと。子どもが欲しくなった時にこの関係はどうなるのか心配ですが、なるほど縛りのない関係も悪くはない。一人にこだわらない恋愛はひいては、たくさんの愛の共有になります。恋人という関係だけじゃなく、ゆるくたくさんの人を愛という感情でつなげていく暮らしやすい社会。最近の文春砲にも飽き飽きしてきました。寛容性のない社会に嫌気がさしはじめているところです。世の中シェアがブームですが、愛のシェアこそ人生の最大のテーマ。まずは隣人を愛する。そうしたら戦争もなくなるのにね。愛をたくさん、そんな時代にしたいものです。

ぐんじさゆみ

『ViVi』『GLAMOROUS』を経て、コンデナスト入社後『GQ JAPAN』編集長代理を務めた後、『VOGUEgirl』を創刊。2014年7月より『Numéro TOKYO』に参加。gumi-gumi主宰

THIS MONTH'S CODE

#多頭飼い

女優の“ゆりちゃん”こと、石田ゆり子さんもたくさんの猫ちゃんを飼っている多頭飼いの人。複数猫との生活を綴るインスタグラムが人気。

#『Numero TOKYO』の3月号

この号のテーマは「happy holic」。只今絶賛発売中。ネットでは読めない素晴らしい記事(自称)はぜひ、書店&コンビニでお求めください。この「2017年新幸福論」は必見です(宣伝)。

#ポリアモリー

ポリアモリー(polyamory)=ギリシア語の「複数」(poly)+ラテン語の「愛」(amor)を意味するアメリカの造語。



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