《東京#CODE》サスティナブルな#ヴィンテージブーム


 1月にオーストラリアのメルボルンに行ってきました。南半球は夏真っ盛り。ヨーロッパ風の街並みに路面電車が走り、公園もいっぱいあって、さすが6年連続「世界で一番住みやすい街」と呼ばれるだけあります。

 メルボルンは実はヴィンテージの街。私が宿泊したエリア、フィッツロイには、たくさんのヴィンテージショップが軒を並べます。70s系のレトロな店やギラギラな80sの店まで、個性たっぷりな店ばかり。しかも、服に限らず家具や本、おもちゃまで、何から何までヴィンテージ。自転車の中古パーツを組み合わせている店までありました。その名も「Mottainai Cycles」(モッタイナイサイクル)。とにかくヴィンテージラブにあふれた街なのです。

 ある古道具店でみつけた『Junkies Magazine』という雑誌の表紙に書いてあった言葉も「Rethink Reuse Reduce Recycle」=「再考して、再生して、減らして、リサイクルする」というものでした。ヴィンテージブームは一過性のものではなく、ここではライフスタイルであり思想なのです。

 その古着街に並ぶある店で「なぜ、日本人はそんなにヴィンテージの服が好きなんですか?」と聞かれました。かなりの日本人が買い物にきているようです。実は海外の友人が来ると必ず言われるのが「日本のヴィンテージショップに行きたい!」です。東京は特にいいヴィンテージがそろっていることでも有名です。アメリカで行われる大きな古着のホールセール(卸市場)へは日本人バイヤーが多数訪れます。目利きも多くいて、日本のヴィンテージ市場は思っている以上に大きいのです。渋谷にある有名なショップ、グリモワールにも海外セレブのコートニー・ラブやNYのデザイナー、アナ・スイが来たことがあるのだそうです。

 最近の人気ヴィンテージショップはインスタグラムを上手に利用しています。ファッショニスタの中で話題の「KIARIS VINTAGE」は代々木上原にある小さなお店ですが、新しいアイテムが入荷するとインスタにアップ。欲しいお客さんはDMして買える仕組みで、人気を広げています。

 ヴィンテージの魅力は今ここで出会ったら、同じモノにはもう二度と出会えない、という一期一会の興奮です。今、おしゃれをするなら誰ともかぶりたくない。モノを捨てない社会。循環型、サスティナブルな社会にとってもヴィンテージを愛する心はとても"新しい"のです。今年は特に90年代ブーム。GAPやNIKEのビッグシルエットのロゴスエットが売れているんです。これって実は20代の女のコだったらママのクローゼットにあるかも、なアイテム。そう、これぞリアルヴィンテージです。今の20代、10代のコに聞くと、「新作」とか「2017年春夏コレクション」という言葉はあまり魅力的に感じないそう。それよりも、お気に入りが見つかればそれが一番。時には同じように音楽でも新しいだけがかっこいいわけじゃない。だからジャミロクワイを聞いたり、宇多田ヒカルの90年代のトラックを聞いていたり、時には70年代のユーミンの曲に感動したり。古いものも新しいものも、結局は「自分に必要なものか」ということ。シーズンとか新作とかそういう枠を超えて、ヴィンテージラブは時空を超えるんです。

ぐんじさゆみ

『ViVi』『GLAMOROUS』を経て、コンデナスト入社後『GQ JAPAN』編集長代理を務めた後、『VOGUEgirl』を創刊。2014年7月より『Numéro TOKYO』に参加。gumi-gumi主宰


THIS MONTH'S CODE

#Mottainai Cycles

メルボルンにある自転車のリサイクルショップ。店主がもともと京都に住んでいたこともあって、日本語の店名になった。日本人には涙ものの5段階ギア自転車なども置いてある。

https://mottainaicycles.com

#グリモワール

Grimoire。渋谷に4店舗ある、ヴィンテージショップ。アメリカ、ヨーロッパで買い付けた個性あるアイテムで人気。

#KIARIS VINTAGE

https://www.instagram.com/kiaris_vintage

#90年代ブーム

GAPでは“90年代リバイバルコレクション”と題して当時の復刻版ロゴパーカーなどのアイテムを発売。





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