みなさま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて先日、秋休みを取ってラスベガスに行ってきました。なぜ、ラスベガス?それは昨年9月にオープンした「スフィア」に行くためでした。もうニュース等で見ているかもですが、ラスベガスのど真ん中にできた球体状ドーム型のエンターテインメント施設です。あのラスベガスの大通りの先に、突然現れる巨大な黄色い顔文字。「ドヒャー!」。 巨大なドームの出現に私と友人は声を上げていました。LEDスクリーンで覆われたその表面にはさまざまな映像が映し出されています。総工費は約3400億円、とも言われるとてつもなく大きな建造物。大阪・関西万博の建設費をゆうに超えるスケールです。
今回の目的は、この「スフィア」で開催されるU2のライブを見ることでした。デジタルチケットを提示して中に入ると、ステージから頭上まで内部が全てLED映像で覆われた、とんでもない空間。ボノのボーカルでライブが始まると、バンドの演奏とともに、めくるめく映像が天井から降ってくるような感覚。VRでクラクラするようなあの体験をリアルに体験する。一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなります。VR機器もどんどん発達して、より目の前に起きていることが、リアルとバーチャルとでマルチバースのように同時進行していくような感覚です。
そんな体験をした12月。思うのは、2024年はどうなっていくんだろう?ということ。渋谷・桜丘には「Shibuya Sakura Stage」がオープンし、この春には原宿・神宮前の交差点に「ハラカド」がオープンします。そう、東京は商業施設のオープンラッシュが止まりません。
そんななか、山梨県富士吉田市で開催されていた「フジテキスタイルウィーク」に行ってきました。ここは1000年以上続く織物の街。どこからでもドーンと大きな富士山が視界に現れる麓の街で、テキスタイルをテーマにした芸術祭が開催されました。いまも小さな工場からバッタンバッタンと織り機の出す音が響くなか、国内外で活躍するアーティストたちが織物職人たちとつくり上げたアート。
「糸」が紡ぎだす数々の作品を巡って、この場所の歴史や風土、人々の営みに思いを馳せます。アートを見た後は、富士北麓でハーブを栽培、販売しているメンバーと一緒に山に入り、クロモジを剪定、採取する体験をしました。初冬の凛と冷え込む澄んだ空気の中で、優しいクロモジの香りを嗅ぎながら歩く。デジタル機器を遮断した山歩きのなんと豊かなことか。後日、 クロモジのお茶をいただきました。
アナログとデジタルの間で私たちは日々を生きています。そのどちらもが現実である2024年。自分がどこを歩いているのか?いまをきちんと生きることの大切さをこれまで以上に感じます。「干支で言えば甲辰(きのえたつ)の今年。より人との縁が大事な年になります」。友人で占いの本も書いている青木良文くんが言いました。リアルでも、デジタルでも、出会う人やものとのつながりを大切にする。目まぐるしく変化する都市にいると“いま”を大切にすることを忘れがちです。どんな環境でも、自分の居場所を保つこと。今年はしっかり見据えていきたいと思うのでした。
THIS MONTH'S CODE
#スフィア
オープン以来、世界中から注目を集める超大型アリーナ。世界最高クラスの解像度を誇るという、内壁のLEDスクリーンに映し出される映像美は、エンタメのかたちを変えた。
#フジテキスタイルウィーク
布の芸術祭。富士吉田市主催で開催されるアートイベントで、3回目の開催。テキスタイルをテーマに国内外のアーティストが参加。
#ハーブを栽培、販売しているメンバー
ハーブ生産者〈HERB STAND〉とワイルドアロマブランド《noi》のチームは、山の自然環境を守りながらハーブを集め、ハーブティーやアロマスプレーなどを販売している。
#クロモジ
クスノキ科に属する落葉低木。その枝は和菓子用の楊枝に使われる。クロモジを使ったお茶や精油が最近人気に。