illustration: Yurina Sato

#リバイバルが人気な理由って?《東京#CODE》


 春のデパートは平日でもすごい人。インバウンド客も多いですが、コロナ禍以前を超えるほどの活況ぶりです。春って、やっぱりワクワクしますよね。

 この春のトレンドはいくつかありますが、「ハロー! ブルー」と「スポーツミックス」を押さえておくと良いと思います。トレンドカラーは毎年たくさん登場して、どれが流行か分かりにくいことも事実。その中でもこの春目立っているのは、ブルー。シャーベット系のちょっと薄めのブルーから、青空のような「ハロー!ブルー」と呼ばれるさわやかなブルーまで、すっきりとした色味で、普段着に一色プラスするだけで新しさを感じます。

 また、パリオリンピック・パラリンピックが開催される今年、引き続きスポーツ系ミックスも人気です。ユニフォームっぽいトップスや、ボトムにパラシュートパンツを加えたりと、スポーツ気分で盛り上がります。

 そんななか、“リバイバル”なブランドやアイテムも増えています。《ミュウミュウ》では懐かしいデッキシューズがリバイバルしています。50代以上の人にしか通じないけど、昔はやったあれです。また、《サカイ》がコラボレーションしたブランドは《カーハート WIP》。90年代の日本では、アメカジブランドとして《カーハート》が大人気でした。その人気はいまだに高く、“デトロイト”と呼ばれる定番ジャケットの古着は、メルカリで10万円以上で取り引きされることも。

 レザーグッズのトレンドを見ているチームからは、「最近、《イル ビゾンテ》が売れているのです」と聞きました。《イル ビゾンテ》は日本では90年代に、人気に火がついたイタリアの革製品ブランドです。当時から長く使い込むほどに馴染む革素材の良さと、使い勝手の良さで長く売れていますが、ここに来てぐっとまた人気が高まっているそうなのです。また、インバウンドの影響で再び行列ができているのが《ゴヤール》。パリでも、東京・新宿の伊勢丹でも、常に長い行列ができています。セレブが持っていたことで、人気再燃に拍車がかかっているようです。なかでも、トートバッグ“サン・ ルイ”は軽くて丈夫、またリセール市場では価格が下がりにくいことでも知られているのだとか。

 リバイバルブランドのポイントは「長く愛せる」ことにあるのだと思います。最近ラグジュアリーブランドの高騰が止まらず、またクリエイティブディレクターが急に変わることで、ブランドの方向性がガラリと変わってしまうこともありがち。それゆえに、長く続くブランドの「変わらない安定感」と「普遍的なデザイン」が、再び人気が戻ってきている理由かもしれません。価格についても、定番ブランドは極端に上がることが少ないので、その分、消費者としては支持しやすいとも言えそうです。

 毎シーズン、くるくる変わる流行を楽しんで、いまを生きるのもいいけれど、ある程度金額を投資するバッグやお財布は、使い勝手の良さや、価格と見合った品質がより重要になってきます。「また価格が高くなった…」とため息をついてラグジュアリーなブランドを追いかけるよりも、「適正な価格のいいものを長く愛用したい」という価値観が生まれているいま。リバイバル現象とは、これまで消えずに残ってきた「いいもの」を再認識する、という潮流なのかもしれません。

THIS MONTH'S CODE

#ハロー! ブルー

日本流行色協会が「2024年の色」として選定し、発表したカラー。新しい時代の到来を笑顔で迎えるような、明るくてやさしさを感じるブルー。

#デッキシューズ

80年代、プレッピースタイルが日本で流行したときに人気を博したのが《スペリー トップサイダー》のデッキシューズ。ショートパンツに合わせるスタイルが流行した。

#イル ビゾンテ

1970年にイタリア・フィレンツェで創業した革製品ブランド。バイソンのアイコンでも知られる。





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