illustration: Yurina Sato

自分らしく、なんでも #カスタマイズ!《東京#CODE》


 先日、表参道の交差点の端っこに、小さなぬいぐるみがちょこんと置かれていました。おそらく誰かの落とし物。最近、こんな小さなぬいぐるみの落とし物を、駅や道でよく発見します。

 その表参道の《バレンシアガ》のショップに飾られていたキャンペーンビジュアルは、チャームをジャラジャラと付けた新作バッグ、“RODEO”でした。このバッグ、それ自体はシンプルで、上質な革を使ったまさにクワイエットラグジュアリーなデザインです。名前の由来はLAのビバリーヒルズにあるロデオドライブ。セレブたちがショッピング姿をよくパパラッチされるストリートです。Z世代のセレブたちが、自分のバッグにたくさんチャームを付けるスタイルを、そのまま生かしたようなこのバッグ。ジャラジャラと使い古されたようなチャーム付きで売られています。もちろんバッグのみの販売もありますが、このチャームが本当に絶妙なのです。ハート型の鏡や南京錠、ブランドロゴのチャームなどがごちゃっと付いている感じがかわいい。その雰囲気はまるで、昔はやったコギャルのスクールバッグです。これもY2Kの流れでしょうか? ちなみにこのチャーム付きRODEOには、150万円超えのモデルもあります。価格は決してかわいくないですね(笑)。

 バッグにぬいぐるみを付ける流行もKーPOPアイドルからスタートしました。BLACK PINKのジェニーが付けていたのは、“ピヨン”と呼ばれる黒ネコのぬいぐるみ。また、ジスはロンドン発の“JELLYCAT”のうさぎのぬいぐるみを付けていて、インフルエンサーたちがこぞって、まねしています。バッグをぬいぐるみやチャームでカスタマイズすることが大流行。ソウルでは、あちこちでカラフルなチャームが売られていて、名入りストラップもつくれるのです。

 一方で、推し活界隈では、 “ぬい活”と呼ばれるブームもあります。これは推しのぬいぐるみを自分好みにカスタマイズすること。ぬいぐるみ用の服をつくるための型紙が掲載された本が出ていたり、服のつくり方を紹介するYouTube動画があるくらい盛り上がっているのです。そんな自分だけのかわいい推しの“ぬい”をバッグに付けたり、一緒に写真を撮ったり、 自分の好きなものでカスタマイズするカルチャーは、ますます広がっているのです。

 昨年亡くなった俳優のジェーン・バーキンが、“バーキン”のバッグを持っていた姿は、強く印象に残っています。高級な《エルメス》のバーキンにステッカーをいっぱい貼って、くしゃっと持って。ときには数珠のようなチャームを付けていたり、書類などをあふれるほど入れて、雑に地面に置いちゃったり。そのラフなスタイルが本当にカッコよかったのです。

 高級なバッグも自分の色に染めて、自分の体になじむようにカスタマイズしてこそ本物の個性です。コギャルのスクバも、  ジェーン・バーキンのバーキンも、ジェニーのぬいぐるみも、  そして推し活バッグも心は一緒。カスタマイズするって、カッコいい! 目まぐるしく変化する流行よりも、究極の自分だけのバッグが一番かわいい。あの道に落ちていたぬいぐるみも、誰かの大切な相棒なんだな、と思います。スマホもバッグも、自分だけのカスタマイズ、始めてみませんか?

THIS MONTH'S CODE

#ピヨン

韓国・ソウルの厚岩洞(フアムドン)にある複合施設「コンフォート ソウル」で扱っている黒ネコのキャラクター。キーリング付きのチャームが大ブレイク。

#バーキン

ジェーン・バーキンが飛行機に乗ったとき、たまたま隣に座った当時のエルメス社長のジャン=ルイ・デュマが彼女のバスケットを見かねて、バッグをつくることを提案し、それが“バーキン”の誕生につながった。

#コギャルのスクバ

スクバ=スクールバッグ。その起源は平成だけど、令和ギャルもスクバのカスタマイズは当たり前。





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