illustration: Yurina Sato

「セルフラブ」はトレンドか?《東京#CODE》


 「自分のこと、大切にできていますか?」。先日、原宿にできた話題の「ハラカド」の中を歩いていたとき、セージやパロサント、パワーストーンなどの浄化グッズやメディテーションアイテムを売っているショップで、この言葉を投げかけられました。普通の言葉なのに、ふっ、と涙が出てくるような感覚。あれ? 私、ちゃんと自分を大切にできてる??

 「セルフラブ」という言葉があります。文字通り、自分を愛すること。自愛ですね。ここ数年、雑誌で特集が組まれたり、ウェルネス系のアイテムでも“SELF LOVE”がうたわれていたり、自分を肯定すること、大切にすることが重要だと気づかされます。でも、あらためてセルフラブ、自分でできているのかな?

 昨年末、訪れたLAではまさにセルフラブがブームでした。スーパーにも浄化スプレーが売られていて、おしゃれなインテリアショップでもパワーストーンやスピリチュアル関連の本も並んでいます。数年前から、 ヨーロッパやアメリカではセルフラブは日常的なテーマです。「ハラカド」のショップでもワークショップが開かれ、自分と相性の良い石を探して小瓶に詰めるプログラムが人気で、若い男性も参加しています。

 日本人は欧米などの国と比べても、自己肯定感が低いと言われています。自分を振り返ってみても、人に同調しやすく、気を使うあまり、自分は二の次ということも多々あります。セルフラブには、「身体」、「感情」、 「精神」という3つの要素があると言われています。一つ目は「身体」。自分の身体をスクリーニングして、身体の声を聞くことが大切です。座禅で言うところの“内観”ですね。まずは自分の身体的コンディションを知ること。そのうえで、自分にとって必要な休憩や癒やし、手当を施していくこと。二つ目の「感情」は、自分の本音を押しつぶさないこと、感情を押し殺さないこと。喜怒哀楽をちゃんと表に出すこと、です。感情を上手にコントロールすることが自己愛の基本です。そして、三つ目の「精神」。マインドフルネスとも呼ばれていますが、心を満たす、心を落ち着かせる、自分を心地よい環境におくこと。ヨガなどでも実践されるところですが、瞑想や呼吸法で自己を整えて、内なる精神を安定させることが大切です。

 ここで大事なのは、セルフラブ=ナルシシズムではないということです。わがままな自分を優先することがセルフラブではなく、まずはいまの自分を受け入れて、愛することが大切なのです。自分を愛せなければ、他者への愛情も生まれてきませんものね。

 先ほど紹介したワークショップでは、年齢も性別も問わず、いろいろな人が参加していました。こういった精神的な話題では女性の関心の方が高いと思われがちですが、最近では男性も興味を持っているのが当たり前のことです。実際に、マインドフルネスを取り入れている企業も多く、精神の安定が、仕事のパフォーマンスにも良い影響を及ぼすと言われ、ヨガスクールや瞑想ルームをつくるなどのサービスを提供する企業も増えているようです。なにより、セルフラブを実践することは自分への贈り物。固定観念を取り払って、まずは、自分を知ることから始めてみませんか?

THIS MONTH'S CODE

#セージやパロサント

ハーブのセージや南米産の香木であるパロサント。燃やして煙を出すことで「場を清める」と言われている。

#ショップ

ハラカド3階にある「クリスタルファーマシー」。LAを拠点に活動するLimLove代表が手がける、セルフラブを発信しているショップ。

#自己肯定感が低い

内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査」、15歳〜39歳を対象にした最近の調査によると、全体の6割の人が「今の自分が好きだ」と回答している。





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