映画、音楽、演劇、小説にアニメーション……日々新しい文化芸術が生まれる街で、そのつくり手たちは、どんなことを考えているのだろうか。今回は、アメリカ・セントルイスを拠点に活動する堀内元さんに、バレエの魅力をきいた。
心動かすバレエを求めて。
「バレエは6歳から始めましたが、小学生の頃は毎日のように大好きな野球をしていました。でも、ひとりで没頭したい性分だったので結局、いつまででもやれて、その結果が返ってくるバレエに惹かれたような気がします」
そう話すのは、アメリカ・セントルイス・バレエ団の芸術監督・振付家でもある堀内元さん。15歳の時、ローザンヌ国際バレエコンクールで受賞し、ニューヨークへ単身バレエ留学した。
「驚いたのが、バレエに対する敷居の低さでした。普通の親子や壮年期のご夫婦が観客席にいるんです。日本では考えられないこと。バレエが人々の生活の中にあったんですよ」
さらに公演内容にも衝撃を受けた。
「バレエといえば、古典作品のイメージでしょ? それにバレエダンサーの技術が注目されがち。でも、海外では笑えたり、泣けたりする作品が多く、物語性に重きが置かれていたんです。自分もそういう作品に携わりたいと思いました」
実際に、芸術監督として作品を手がけるようになって、バレエに対する思いも様変わりした。
「人が物語に感動する、共鳴するのは、自分の過去との接点を発見した時だと思うんです。だから、お客さんとの接点探しのような感覚で作品を作るようになりました。バレエを始めたころは自分の世界に没頭していたのに、今では真逆です(笑)」
4月には『Ballet On BROADWAY〜劇団四季の舞台を彩った振付家のバレエ傑作集〜』を主催する。
「バレエとミュージカルは親和性が高いんですよ。近づきがたいバレエのイメージを払拭したくて、劇団四季の名作を手掛けた演出家によるバレエ作品傑作集にしました。バレエを観たことのない人にも観てほしいですね」
演者として、裏方として、そして経営者としても忙しい日々を送る堀内さん。その活力の源は?
「ひとつは留学時から応援してくれた同級生です。昔の仲間と会うと過去と今の自分を比べて、自分の道を見直せるし、次に会う時まで輝いていようと“リチャージ”できる。それから妻と11歳の娘との時間が一番大事な癒やしですね。バレエの8割はツラい部分なので、子供にやらせない同業者がほとんど。でも、うちは娘もバレエをやっているおかげで、一緒にいる時間や共有できることも多い。娘には、残りの2割にある、本当にやっていて良かったと思える瞬間を味わってもらいたいですね」
□東京都出身。バレエダンサー・振付家。現在アメリカ・セントルイス・バレエ団芸術監督を務める。アジア人初のNYシティ・バレエ団プリンシパル、ローザンヌ国際バレエコンクールで日本人初スカラシップを受賞。2010年よりほぼ毎年日本でも公演を行い、ダンサーの活躍の場を創生している。2015年、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

堀内元BALLET FUTURE 2026
『Ballet On BROADWAY(バレエ・オン・ブロードウェイ)
〜劇団四季の舞台を彩った振付家のバレエ傑作集〜』
公演日程:
4月3日(金)13:30/18:30
4月4日(土)13:00/17:30
4月5日(日)12:00
会場:自由劇場(東京・竹芝)
料金:1万1000円(全席指定)
芸術監督・出演:堀内元
出演:アメリカ・セントルイス・バレエ団/劇団四季
主催: BALLET FUTURE公演実行委員会/
オフィス・エイツー
https://www.stlouisballet.org/balletfuture