東京・上野にある国立国会図書館・国際子ども図書館をご存じですか。「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く!」という理念のもと、日本で初めて国立の児童書の専門図書館として平成12年5月に開館しました。
その建物は明治39年に建てられ、昭和4年に増築された帝国図書館(後に国立図書館、国立国会図書館支部上野図書館と名称変更)を改修、増築したものです。ルネサンス様式の代表的な明治期洋風建築として東京都の選定歴史的建造物に指定されています。
絵本の源流となる絵入り本は、8世紀、奈良時代の絵巻が最古とされています。その後、室町時代には冊子の形となった奈良絵本が誕生しますが、この時代は一点一点手作りで、限られた人の目にしか触れないものでした。江戸時代に入ると、版木による印刷の普及から、庶民にも読書層が広がっていきます。中期からは、草双紙(くさぞうし)(昔話が中心の赤本、浄瑠璃歌舞伎の筋書きなどの黒本・青本)が生まれ、子供に広がり、滑稽や世相の風刺も含まれる黄表紙は大人の読者を獲得していきました。
明治から昭和初期まで「ちりめん本」という欧文の小型絵入り本が作られます。明治期後半には、西洋の印刷技術の導入で多色印刷の普及や、幼児教育制度の整備、日清・日露戦争の戦時景気の影響などから、子供のための「絵雑誌」と単行の「絵本」が刊行されます。
昭和の戦時下では物理的・内容的統制が加えられました。戦後はGHQの検閲や統制も厳しいものがありましたが、作家、画家、編集者の熱い思いから数多くの出版社が生まれ、現代に続く絵本が多数、出版されていきました。レンガ棟2階の児童書ギャラリーでは、明治から現代までの児童文学史、絵本史の紹介と、1千冊の資料を手に取って読むことができます。
(国立音楽大教授 林浩子)
