アメリカ映画に登場する、 10 代の若者たち。彼らはみなパーティーに興じ、恋愛や友情関係に一喜一憂する。楽しげな若者に共感する点などなにもないはずなのに、バカみたいにはしゃぐ彼らの 姿に、泣きたいほど惹かれてしまうのはなぜだろう。
女優オリヴィア・ワイルドの初監督作『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の主人公は、卒業を目前に控えた二人の女子高校生。生徒会長のモリーは、名門大学への進学が決まり、着実にエリートコースを歩んでいる。 親友のエイミーは社会活動に熱心で、大学入学前に、ボツワナでボランティア活動に従事する予定だ。
異性愛者のモリーとレズビアンのエイミーは、どちらも恋人はいないが、そこに引け目を感じたり はしない。むしろ野心的なモリーは、将来を見据えて勉強一筋でやってきた自分を誇りに感じてい る。だが遊んでばかりだと思っていた同級生たちが、自分と同じ名門大学や有名企業に進むと知り、 ショックを受ける。
動揺したモリーは、学校の人気者ニックのパーティーにエイミーを誘う。高校生活最後の夜、敬遠 していた馬鹿騒ぎに参加するのだ。二人は勇んで夜の街に繰り出すが、なかなか会場に辿り着けず、次々とトラブルに巻き込まれる。
モリーとエイミーは、最高の相棒だ。おそろいの服を着て、馬鹿げた目的に向かってあの手この手 で邁進する。はちゃめちゃだけど、 決して度を越さないのどかさがまた楽しい。映画は、狂乱の夜をコミカルに描きながら、物語上は、教育的なオチをつける。学校以外での同級生の姿を目にし、二人は、自分がいかに人の上辺しか見ていなかったのかを気づかされる。
正直なところ、登場人物はみなどこか図式的で、あまりにもいい子ばかり。まるでおとぎ話みたい、と言いそうになるけれど、「おとぎ話でなにが悪い」と笑い飛ばすおおらかさがここにはある。モリーたちは、最後、笑ってしまうような力技で高校生活にケリをつける。そうして、理屈に合わない力技が発揮されたときこそ、映画はぐっと魅力を増す。
幸福感に満ちたこの青春劇に、 私はすっかり心奪われてしまった。 夜のプールでゆらゆらと泳ぐ若者たちに、車を爆走させる女子たちに、心から拍手を送りたい。

This Month Movie『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』
大の親友のモリーとエイミーは、高校では誰もが認める優等生コンビ。卒業式前日、いままでバカにしていた遊び人の同級生たちが、みなハイレベルな進路に進むことを知り、モリーはショックを受ける。勉強だけに邁進した高校生活をやり直すため、二人は、人気者が集うパーティーへの参加を決意する。それは波乱の夜の幕開けだった…。
8月21日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開。
監督:オリヴィア・ワイルド
出演:ビーニー・フェルドスタイン、ケイトリン・デヴァー
旧作もcheck!
『レディ・バード』
モリー役のビーニー・フェルドスタインは、本作でも主人公の親友役で独特の魅力を放っている。

監督:グレタ・ガーウィグ
Blu-ray:1886 円
DVD:1429 円
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント