《更年期入門 vol.11》もっと知りたい!男性にとっての「更年期」のリアル 男性自身と女性に対して

Fem Care Project

【Fem Care Project 推進パートナー】

TRULY CEO 二宮 未摩子

近年、女性だけではなく男性にも更年期があることが話題になっています。男性、女性に限らず、男性ホルモンも女性ホルモンの分泌量は年齢を重ねるごとに、また人生のライフステージごとに変化をしていきます。それに伴い心と身体の変化があることは誰にでもあることで、とても自然なことです。

女性の更年期に関しての情報はどんどんオープンになってきており、症状や対処法などの知識をある程度把握してきている方も多いかもしれません。一方で男性の更年期症状についての情報は、女性に比べるとまだごく一部。

本記事では、男性にとっての「女性のホルモンによる不調」について、また「男性本人の更年期」についてどのように感じているのか、TRULYが独自で行った渋谷区・神戸市住民向けサービス 令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」(n=39)においての男性へのアンケートデータをもとに、ご紹介していきたいと思います。


職場やパートナーの女性の心や身体についての男性の気持ち

まずは職場にいる女性や、もっと身近なパートナーの女性のホルモンによる不調に対して、男性の経験や感じていることについてご紹介していきます。

■約90%の男性が、女性の生理や更年期などホルモンバランスの乱れによる「不調」を感じたり、伝えられた経験がある

女性は毎月のホルモンバランスの変化に加え、年齢やライフステージの変化により女性ホルモンの分泌が大きく変動します。そのため定期的かつ集中的に心身の不調が現れることがあります。これに対して多くの男性が、身近な環境だけでなく職場においても、このような女性のホルモンによる不調に気づいているという、結果となりました。

パートナーの女性から不調について伝えられたことがあると答えた男性は全体の8割ですが、職場では4割弱に留まります。働く女性が職場で男性の上司や同僚に打ち明けるのは少しハードルが高いように見受けられます。

■ホルモンバランスが崩れやすい時期の女性に対して気をつけていることは「声をかけて気に掛ける」が41% 一方 「なるべく関わらない」は28%

90%の男性が女性のホルモンによる不調に気づいている一方で、「声をかけて気に掛ける」男性は41%、このほか職場などで「仕事の量を減らす」「休みを取ってもらうようにする」と答えた男性はどちらも3割程でした。また、「なるべく関わらないようにする」と答えた男性も3割弱おられ、多くの男性が女性の不調に気づきながらも、接し方に関してはバラつきがあります。

■女性ホルモンの崩れによる体調不良が、「日々の仕事に影響する」は81%に対し、「キャリアや昇進に影響する」は38%

01.png
(左)生理や更年期など、女性ホルモンの崩れによる体調不良は、「日々の仕事」に影響を及ぼすと思いますか?
(右)生理や更年期など、女性ホルモンの崩れによる体調不良は、「キャリアや昇進」に影響を及ぼすと思いますか?
※TRULY独⾃調査:渋谷区・神戸市住民向けサービス 令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」 n=39
 

女性のホルモンによる心身の不調が日々の仕事に影響しているというところまでは、ほとんどの男性への理解が進んでいるようですが、それがキャリアや昇進にまで影響しているとは感じていないようです。

しかし実情は女性特有の症状を理由に働き方を変えたり、何かを諦めた経験がある人は約54%というデータ(※1)もあり、自分自身で身を引かざるを得ない状況にある女性も表には出ていなくても、実際には多くいることが分かっています。

※1)出典:パーソルキャリア 女性の働き方とヘルスリテラシーに関する調査(2022年1月 n=1,304)

■仕事や生活への影響をご自身に共有してもらいたい人は約70%

パートナーのような身近な男性に女性からホルモンによる心身の不調を伝えている人はわりと多いようですが、男性側からも「女性に共有してもらいたい」と思っている方が多いようです。伝えるということは勇気がいることですが、男性側は共有してほしいと考えていると知ることができていれば、安心ですね。まずは状況を伝えることが、自分にとっても周囲にとっても心地よく過ごすための第一歩なのかもしれません。

03.png
生理や更年期など、女性にホルモンバランスの崩れによる不調があった場合、
仕事や生活への影響をご自身に共有してもらいたいですか?
※TRULY独⾃調査:渋谷区・神戸市住民向けサービス 令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」 n=39


■男性ホルモンによる不調の認知は50%、男性の更年期障害がある事の認知は64%

最近男性の更年期が注目され始めたこともあり、男性の更年期障害について知っている人は64%となっています。一方で更年期障害に限らず男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる不調があるという人は半分以下でした。

更年期に限らず若い男性でもストレスや睡眠不足などによってテストステロンが低下してしまうことがあり、様々な不調が現れることがあります。

■約90%の方が、男性更年期の症状について、実感している。

男性の更年期症状は女性と同じような症状もあれば、男性特有のものもありますが、多くの男性が既に実感しているようでした。中でも1位は筋肉量の減少、内臓脂肪の増加、2位は性欲の減退/集中力・判断力・記憶力の低下となっています。このほか睡眠障害や短気で怒りっぽくなったというような症状を実感している方もいるなど、多岐にわたる症状の出方や強さは人それぞれのようです。

■更年期症状への対策している方:対策してない方=7:3

今回の実証プロジェクトにおいてアンケートに回答した男性は、更年期の症状に対して積極的に対策を行っている人が7割という結果でした。対策の1位はサプリメント 2位は病院受診、そして市販の薬や漢方薬の服用が続きます。マッサージや整体に行ったり、書籍やネットで更年期について調べたりというような行動をおこしている方もおられました。

アロマテラピーやウォーキングなどの運動を始めたという男性もいますので、もしパートナーの女性が同じ更年期世代であれば、更年期症状への対策を相談しながら一緒に楽しめそうですね。

■7割の男性が男性のホルモン低下による不調悩みを、妻やパートナーに聞いてもらいたい

04.png
男性のホルモン低下による不調悩みを、妻やパートナーに聞いてもらい理解してもらいたいと思いますか?
※TRULY独⾃調査:渋谷区・神戸市住民向けサービス 令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」 n=39

女性に対してホルモンによる不調を共有してもらいたいと回答していた男性は7割でしたが、同様に7割の男性自身が、男性のホルモン低下による不調や悩みを、妻やパートナーに聞いてもらい理解してもらいたいと回答していました。

まだまだ男性社会が色濃く残る日本。女性が活躍しにくいという事実がある一方で、男性にとっても不調や弱みを表に出してはいけないという無意識の思い込みがあるのです。せめて身近な男性の話は聞き役となって受け止めてあげられるといいですね。

■まずは話を聞いたり、コミュニケーションを取ることから

今回TRULYが実証実験の中で行った限定的なアンケートではありますが、これまで見えにくかった更年期をはじめとしたホルモンによる不調に対しての男性の女性に対する気持ちや、自分自身に対するケアや考えを少し垣間見ることができたのではないでしょうか。

ホルモンによる不調は症状が様々で個人差が大きいことが特徴です。内容的にもデリケートな部分もあり、なかなか伝えにくいという側面があることでしょう。しかし性別に関わらず、不調を共有したり、相手の話に耳を傾けたりすることが相互理解への第一歩のように感じます。

苦しんでいる大切な家族や仲間、友人を助けたくてもなぜどのように辛いのかを伝えてもらえなければ、手を差し伸べることが難しいこともあります。まずはお互いにコミュニケーションを取ることから始めてみませんか?

TRULYでは男女の相互理解のための情報を発信しています。ぜひご参考にご覧ください。

https://truly-japan.com/


【Fem Care Project 推進パートナー】

株式会社TRULY

https://www.truly-japan.co.jp/

CEO 二宮 未摩子

292A1768.jpg

【TRULYのサービス】
■ TRULYメディアサイト:https://truly-japan.com/
女性医師、薬剤師、漢方薬剤師のような専門家による生理、PMS (月経前症候群)、妊娠、妊活、産後、更年期(男性含む)などに関する記事を掲載しています。


TAGS:#更年期

Fem Care Project


この記事をシェアする

LATEST POSTS