(左)『どぶがわ』 著:池辺葵619円 秋田書店 (右)『棒がいっぽん』 著:高野文子 874円 マガジンハウス

《いか文庫 本日は閉店なり》本と音楽って、相性がいいと思わなイカ?


店主(以下 店):フフフーン(鼻歌を歌っている店主)。

バイトちゃん(以下 バ):店主、なにかいいことでもありましたか?

店:あ、いやね、さっき読んでた漫画に、好きな曲がでてきたからつい歌っちゃってた。

バ:思わず鼻歌を歌っちゃうなんて!どんな作品ですか?

店:『どぶがわ』っていう、その名の通り、臭いがキツい川沿いを舞台にした漫画だよ。その川の近くで登場人物たちが、それぞれの境遇とか、思いを抱いて暮らしている…っていう物語がいくつか入ってるんだ。

バ:臭いがキツい川沿い?

店:そう。嫌がって避ける人もいれば、そこでしか生活できない人もいるんだけど、その中でキーパーソンとなるお婆さんが、私も大好きな「私の青空」っていう曲を好きなんだよね。

バ:聴いたことないかも…?

店:元々アメリカの曲なんだけど、戦前に日本語訳でレコードが発売されたんだって。その後も多くの歌手がカバーして歌い継がれている名曲だよ(店主歌ってみせる)。

バ:あ!そのフレーズ、CMで聴いたことがあるかも。

店:でね、この曲で思い出す漫画がもう一つあるの。『棒がいっぽん』っていう高野文子さんの短編集なんだけど…。

バ:もしかして「美しき町」?

店:それ!「私の青空」が出てくるわけじゃないんだけど、曲のイメージと、この漫画を読んだ後の気持ちが、一致するんだよね。

バ:昭和30年代くらいの町工場に勤める若夫婦の物語ですよね。暮らしぶりはどちらかというと質素だけど、休日には夫婦で裏山に登ることがささやかな楽しみだったり。たしかに合うかも。

店:でしょ!

バ:実はあの舞台になっているアパート、私の父がむかし家族で住んでいたアパートなんですよ。アパートから見える公園や神社は、私も何度も行ったことがあって。

店:なんと!そういえば作者の高野さん、出身地がバイトちゃんと同じ新潟だもんね。

バ:そうなんです。漫画が描かれている時代を私は知らないけれど、あの町の空気感を知っているのはちょっとした自慢です。

店: いいなー! 本に出てくる曲とか、読んでいて思い浮かぶメロディとか、私はよく本にまつわる音楽のことを考えるんだけど、バイトちゃんはそういうのある?

バ:あまり考えたことがないです。映画の原作になっている本を読んで、映画のサントラが思い浮かぶ…みたいなことはありましたが。

店:あ、それも楽しいよね。本と音楽を合わせると、本の楽しさって倍増する気がするなぁ。もっといろいろ組み合わせてみたい!

バ:DJいか文庫始動ですね。店主おすすめの本と音楽の組み合わせ、たくさん教えてください!





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