店主(以下 店):バイトちゃん、今日もお疲れさまでしたー。
バイトちゃん(以下 バ):お疲れさまでした!聞いてください!最近、深夜ラジオにまつわるうれしい出来事があったんです!
店: ほぉ!どんなことが?
バ:某番組でモーニングコールをしてほしいリスナーを募集していたので、応募したんです。まさか自分が選ばれると思わず、眠っていたら、その番組から電話がかかってきました。朝4時20分に!
店:4時20分?早すぎ!
バ:好きなラジオパーソナリティが電話越しに歌をうたいながら、私を起こしてくれました。しかも私も一緒に歌わされて…。
店:歌ったの!?
バ:歌ったんですけど、寝起きだから声が全然出ませんでした(笑)。ところで、そんな私にはたまらない、『深夜のラジオっ子』という本が出たんですよ!
店: バイトちゃんが好きそうだ なぁって思ってたけど、やっぱり。
バ:90年代の深夜ラジオをつくってきた構成作家さんたちが、作家になったきっかけや、番組づくりの裏側を語ってくれているんです。
店: 例えばどんな?
バ:ラジオを聴いているとパーソナリティの横にいる作家さんの笑い声が聞こえてきますよね。あの笑い声の出し方にも、実は番組を盛り上げるテクニックがあるそうですよ。
店:ただ笑っているだけじゃないんだ!ラジオといえば、作家の向田邦子さんもラジオの脚本を書いてたことがあったそうだよ。
バ:向田さんもラジオ?知らなかった!
店:昭和37年から7年続いた『森繁の重役読本』っていうラジオエッセイで、文庫にもなっているんだ。向田さんが書いた脚本を、俳優の森繁久彌さんが、毎朝5分間読んでたんだって。
バ:7年も !? 毎朝 !? どんなストーリーなんですか?
店:主人公の「重役さん」の愚痴や説教だけの話だったり、重役さんとその周りの人々、たとえば奥さんや部下たちとの会話で進んでいく話だったり。全体的に「中年のおじさんのもの哀しさ」をテーマにした脚本だよ。
バ:女性の向田さんがそれを書いていたんですね。
店:自分のお父さんをモデルにしていたんだって。最後には、ちょっとブラックな笑いを匂わせて終わるっていう、向田さんのエッセイの雰囲気が漂ってるんだ。これを書いたことで、のちに脚本家やエッセイストとしての力を身につけたとも言われてるんだよ。
バ:ラジオドラマをイメージして、その本を読んでみます!
店:ラジオって、いろいろな才能を見出すメディアでもあるよね。
バ:本当ですね。よし、じゃあ今日も帰ってラジオ聴かなきゃ!
店: 私もラジオ聴きながら帰ろー。
バ: そうこなくっちゃ!