店主(以下店) :バイトもりもり、おつかれさま〜。今回の出張のおとも本は?
バイトもりもり(以下もり):店主、おつかれさまです!今回は、岸本佐知子さんのエッセイ、『気になる部分』です。
店:岸本さんって、翻訳家の?
もり:そうです!エッセイもめっちゃおもしろいよって聞いていたのでずっと気になっていて、読んだら思いきりはまりました(笑)。
店:へぇ!笑っちゃう感じ?
もり:はい、でも爆笑ではなくて、プククク…って感じです。電車の中で読むと危ないやつです。
店:もしかして、新幹線の中で読むの必死だった?
もり:マスクの下で必死にこらえてたんですけど、だいぶ隠しきれてなかったと思います…。岸本さんの文章って静かに語る感じなのに独特のリズムがあって、「とまらない、とまらない」って進んでいくんです。「このまま読むと吹き出す!」って、ページから目をそらしたくらい(笑)。
店:もりもりの姿を想像するだけで笑いそう(笑)。特にやばい!ってなったところは?
もり:岸本さんの会社員時代のお話が特に。会社独特の習わしとか、その中だけで通用していた奇妙な言葉の数々とか。「別件で」は「ベッケンバウアーで」、「やばい」は「バイヤー・コンディオス」とかを、淡々と語って冷静につっこむから余計におもしろくて。
店:それ、私も使いたい(笑)。そういえばこの絵本、岸本さんの翻訳だね。オーストラリアの作家、ショーン・タンの『エリック』。
もり:どんなお話なんですか?
店:この表紙に描かれている「エリック」が、主人公の男の子の家に交換留学生として住んでいた時のことを、回想する物語だよ。でも、主人公は語るだけで出てこないし、エリックはずっと出てるけど喋らない。しかもエリックは、ティーカップに入れるくらいの小さい謎の生き物なの。設定がとても不思議な物語です。
もり:そうなんですね!表紙だけ見てちょっと怖いお話なのかなって思ってました。
店:全然怖くないよ。それに、奇妙な感覚は続くけど、読んでいてわからなくなることはないの。スルスル〜ってあっという間に読み進められて、今までにない読後感に包まれるんだ。これってきっと、岸本さんの翻訳だからってのもあるんだと思う。海外文学をあまり読まない友達も、岸本さん翻訳のものは、すごく楽しく読めるって言ってたし。
もり:へぇ!翻訳ってすごいですね。海外文学は私も憧れはあるけど挫折したものも多くて、でも次は岸本さんが翻訳したものを読みたくなってきました!
店:私も同じく!オススメの本があったら教えてね。
もり:はい!ぜひ‼