江戸時代に開発された友禅、色絵などの技法に高い精度を加え、華麗で繊細な表現を施した明治時代の工芸品約130点を集めた「驚きの明治工藝」展が、台東区上野公園の東京藝術大学大学美術館で開催されています。
展示されている作品はすべて、台湾のコレクター 宋培安氏の所蔵品。金工や木彫刻、角の彫刻、漆器、七宝、織物など多彩な作品が放つ、「すごい!」「びっくり!」「かわいい!」がいっぱいの展覧会です。
特に、鉄や銅などで、龍や蛇、伊勢海老、カニ、トンボ、蝶などを写実的に作り、しかも、それらが本物のように動く〝明治版フィギュア〟自在置物の精巧さには驚かされます。胴や脚、爪を動かすことができる全長3メートルの≪自在龍≫宗義は圧巻です。会場で、展示品に触ることはできないので、動く様子を撮影したビデオを見ることができます。
また、白いビロード地に図案を染め、部分的にパイルを残したり、切ったりすることで絵画的表現と立体感を持つビロード(天鵞絨)友禅の技法で制作された作品も「素晴らしい」の一言です。ビロード友禅は、明治9年(1876年)の米フィラデルフィア万国博覧会に出品されて高い評価を受け、その後、壁掛けとして海外へ輸出されました。日本国内に残る作品は少ないので、まるで絵のような「染め」を堪能できる貴重な機会です。
明治を生きた職人の技が光る逸品の数々を観に足を運んでみてください。10月30日まで。
《自在龍》 宗義
本物そっくりな《自在蟹》
「驚きの明治工藝」展
会場:台東区上野公園12-8 東京藝術大学大学美術館
開館時間:午前10時~午後5時〈10月21日(金)、10月22日(土)は午後8時まで開館〉※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(9月19日、10月10日は開館)、10月11日(火)
観覧料:一般1300円/大学・高校生800円/中学生以下は無料