アーティストと現代アートへの理解がぐっと深まります - 森美術館 STARS展[アートは六本木]


「アーティストと現代アートへの理解がぐっと深まります」

 アーカイブのコーナーでは、各アーティストの展覧会歴を中心とした活動年表とともに、作家自身の言葉、各国のキュレーターや評論家のコメントをちりばめ、当時どのように理解・評価されたのかをまとめています。これを見ることで時代の雰囲気が感じられ、アーティストがもつ一貫したコンセプトが浮かびあがったり、作品の理解を深めるヒントが見つかったりするのではないかと思います。このコーナーと展示空間を行ったり来たりしながら鑑賞してみてください。

 また、片岡館長のアイデアで、戦後、海外で開催された日本の現代アートの展覧会を50展ピックアップし、東西冷戦終了など、そのときの世界情勢を加えてまとめた年表を作成し、資料とともに展示しています。展覧会のカタログをはじめとする資料は外務省の外交資料室や、海外の古書店のウェブサイトなどでも探しました。4人のスタッフが約1年かけて調査したこの資料の一部は、本展の図録に収められています。図録には、作品画像はもちろん、片岡館長の2万字におよぶ熱いエッセイと、2019年まで当館の館長を務めた南條史生による論考に加え、1980年代から数多くの日本人現代アーティストの展覧会を手がけ、現在はソロモン・R・グッゲンハイム美術館アジア美術上級キュレーターを務めるアレクサンドラ・モンローによる論考も収録され、大変充実した内容になりました。

 本展に足を運んだ際は、ぜひ音声ガイドを聞きながらの鑑賞をおすすめします。それぞれのアーティストが自身の言葉で語ったコメントを聞きながら作品と対峙するという、貴重な体験ができますよ。

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海外で開催された日本の現代美術展の資料展示。1950年以降、海外で開催された現代美術展約150のなかから50展を選出し、各展の概要とともに、展示写真、当時の批評など貴重な資料を含めて紹介。厳しい批評なども散見され、今日までの歩みをたどることができる。

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アーティストがこれまで出展したおもな展覧会歴、カタログ、展示風景写真とともに、批評家などのコメントも。

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担当キュレーター 熊倉晴子
 

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STARS:現代美術のスターたち ー日本から世界へ

図録には展示風景を含む作品写真とともに、アーカイブコーナーも一部掲載されている。片岡真実、南條史生、アレクサンドラ・モンローによる論考に加え、6名のアーティストについてのショートエッセイも収録。日英バイリンガル。
ページ数:328ページ
価格:3300円(税込)





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