連載「本日は閉店なり」でおなじみの、エア本屋「いか文庫」店主&バイトスタッフが厳選した“エア旅行”におすすめの一冊!
店主イチオシ小説『旅する練習』
著:乗代雄介 講談社 1705円

旅に出て、なにを感じ考えるか。
それがいちばん大事なのかも。
この小説で向かう先は、茨城の鹿島。さすがに近過ぎない? そう思った私が間違いでした。まもなく中学生になる姪は、明るく楽天的、まっすぐな性格で、サッカーのことばかり考えているのですが、道のりで見た景色、人との出会いから、少しずつ成長していきます。それを記録する“にーちゃん”こと叔父の視点で見守るうちに、こちらが救われた気持ちになるのがとても不思議。いつもの旅のワクワク感とはまた違う感情を生み出す旅物語です。
《Story》
小説家の叔父とサッカーが生きがいの姪は、受験合格のお祝い旅行を計画するが、新型コロナの影響で急遽、徒歩で目的地に向かうことに。千葉から茨城へ、川沿いの鳥を観察し、サッカーの練習をしながら進む道で出合うものは…。

いか文庫店主
本社勤務。山形出身。好きな食べ物は、焼きそばと栗。実家はスポーツ店で、特技はスキー。ちょっとしたきっかけで、なんでも好きになる性格。都内のリアル本屋でも書店員としてかけまわる。
@ika_bunko
バイトもりもりイチオシ小説『ロマンシエ』
著:原田マハ 小学館文庫 803円

君が叫んだその場所こそが
ほんとの世界の真ん中なのだ。
自分のジェンダーに違和感を覚えて生きてきた主人公・美智之輔は、ずっと日の当たらない世界の端っこにいるような気持ちでいた。しかし、憧れの小説家(ロマンシエ)とフランスの伝統的な印刷手法「リトグラフ」に出合い、パリという街、そしてアートが彼を自由にしていく。大切な人のために、必死で駆け回る主人公と一緒に、パリの日常の風景を楽しめてしまう、最高のラブコメディです!
《Story》
アーティストを夢見る乙女な美男子・美智之輔は留学したパリの街角で、ある小説家と出会う。ワケあってリトグラフ工房にかくまわれている彼女を窮地から救ったことで、その正体を知ってしまい、騒動に巻き込まれていく…。

バイトもりもり
関西支社勤務。大阪出身、大阪・山陰育ち。リアル本屋でも書店員として奮闘中。好きな食べ物は焼きうどんと梨。ほとんど指せないけど、将棋を観たり読んだりするのが大好きな「観る将」「読む将」。
@morimor67586399
いか文庫とは
お店もないし、商品もないけど、日々どこかで開店している“エア本屋”。本社勤務の店主と、支社スタッフのバイトちゃん、バイトぱん、バイトもりもり、バイトいもの総勢5名で運営。リアル本屋フェアやイベント出店、オリジナルグッズ制作・販売などをしつつ、最近は、雑誌・ラジオ・テレビなどにも出没中。
http://www.ikabunko.com