新しい時代をいかに生きるか?
ウェルビーイングについて16作家の作品から考える
地球規模のパンデミックに見舞われているいま、世界はどうなるのか、そのなかでどう生きるのかを、改めて考えるきっかけになる展覧会が、六本木ヒルズの森美術館で開催中。16名の作家の作品に触れれば、自ずと自分への問いかけが、始まるはず。
見る、感じる、考える、撮る。
色んな風に楽しめるアート
この展覧会のメインタイトル「地球がまわる音を聴く」について、片岡真実森美術館館長は、カタログに寄せたエッセイでこう書いている。
“「地球がまわる音を聴く」。世界中の美術館や博物館が休館し始めた2年前、オノ・ヨーコの『グレープフルーツ』(1964)に収められたこのインストラクションが脳内空間を震わせた”
サブタイトルに使われているウェルビーイングという言葉は、WHO憲章では、“肉体的、精神的、そして社会的にも、すべてが満たされた状態”と定義されている。つまり本展の大きなテーマは、パンデミックによって一変した日常を、よりよく生きるにはどうしたらよいのかということ。キュレーションを担当した一人、森美術館アソシエイト・キュレーターの德山拓一さんはこう語る。
「本展を企画するにあたり、片岡館長、熊倉晴子(森美術館アシスタント・キュレーター)とで、今見たい、見て欲しいアーティストをリストアップしました。すると、すぐには言葉にできないけれど、共通する何かがあるという手応えを感じました。その何かとは、アートに対する切実さや、信じて続けること、それに伴う孤独といった、本質的にアートと向き合う姿勢のようなものです」
1年でほんの少ししか集まらないヘーゼルナッツの花粉を用いたヴォルフガング・ライプのインスタレーション。33年間、無造作に並べたオブジェに色を塗り続けた堀尾貞治。鉛筆で新聞紙を塗りつぶし続け、まるで宇宙のような空間を生み出した金沢寿美。彼らの作品を見て、コンセプトを読み、また作品を見る。16人のアーティストのすべての作品から、このテーマ、この表現でなければ、というひたむきな意思が伝わってくる。片岡館長のエッセイは、このように続く。
“地球はそれまでと同じように回っていたが、その表面ではウイルスが人々の移動とともに瞬く間に蔓延していた。〜中略〜国境が封鎖され、移動が制限される中、「想像することだけが残された」と改めて感じた”。
どんな状況下にあっても、想像することだけは、制限されることはない。「作品を通じて、想像し続けること、想像力をもって生きることの強さや尊さを感じていただけると嬉しいです」と德山さんも語る。
作品の中には、香りが感じられるものも。全身で作品から発せられるメッセージを受け取るうちに、少しずつ元気になっていく自分を発見できるはずだ。
Yoko Ono
展覧会のタイトルである「地球がまわる音を聴く」は、オノ・ヨーコのインストラクション・アートから引用されたもの。会場入り口に展示されるこの言葉から、本展の幕が開く。

《地球の曲》 1963年春
オノ・ヨーコ『Grapefruit』(Wunternaum Press、東京、1964年)より
Wolfgang Laib
自然界の神秘と生命のエネルギーを感じる
床に広がった鮮やかな黄色は、作品名にもあるとおりヘーゼルナッツの花粉。これは、ヴォルフガング・ライプが住むドイツ南部の小さな村で長年かけてコツコツと採取したものだという。右奥に見える小屋は《べつのどこかで――確かさの部屋》。囲いの内側はミツバチが巣をつくるために分泌する蜜蝋のかたまりで覆われていて、作品内部に入ると、ほんのりと甘い香りが。左奥にある《ミルクストーン》は、浅く削られた大理石の板に牛乳を満たした作品。毎朝、表面張力のギリギリまで牛乳が注がれるという。ライプは、大学で医学を学び、博士号を取得した後、芸術家を志した人。どの作品も、ほんの小さな生命の源が自然界で循環し、壮大な宇宙へと広がるイメージを感じさせてくれる。

《ヘーゼルナッツの花粉》
2015-2018年
Courtesy: ケンジタキギャラリー(名古屋、東京)
《INFORMATION》
地球がまわる音を聴く:
パンデミック以降のウェルビーイング
11月6日(日)まで開催中!
開館時間:10:00〜22:00(火曜日のみ17:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで。会期中無休
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
《ARTIST》
エレン・アルトフェスト/青野文昭/モンティエン・ブンマー/ロベール・クートラス/堀尾昭子/堀尾貞治/飯山由貴/金崎将司/金沢寿美/小泉明郎/ヴォルフガング・ライプ/ゾーイ・レナード /内藤正敏/オノ・ヨーコ/ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)/ギド・ファン・デア・ウェルヴェ
《TICKET》
チケットは事前予約制
購入は専用オンラインサイトか「ヒルズアプリ」へ
[専用オンラインサイト]
https://visit.mam-tcv-macg-hills.com
[ヒルズアプリ]
https://hillsapp.page.link/app_installer
展示を見た2人のインフルエンサーの感想はこちらから!

中瀬古ゆきな
@ yuch1129
金崎将司さんの立体作品に感動。素材が紙と知り、驚きました!

三井菜那
@ nana.0312
ヴォルフガング・ライプさんの作品の黄色い花粉は、必見ですね。