いまの経済を知ろう[お金を育てよう]


 ニュースでよく目にする、「円安」「物価高」「賃上げ」といったトピック。聞いたことはあるけれど、その背景までは知らない人も多いはず。納得して資産形成をするためにも、FP Officeの根本寛朗さんからいまの経済を学ぼう。


お金を育てるためにも
経済のことは知っておこう

 電気代にガス代、食品から生活雑貨にいたるまで、さまざまなモノの値上げが続いている。この物価上昇には、どんな背景があるのだろうか。FP Officeの根本寛朗さんは、大きく2つの要因があると話す。

 「1つ目はウクライナ紛争の影響です。流通が停滞したり、生産が滞ったりして、さまざまな原材料やエネルギー資源の価格が上がりました。そうなると、その原材料を仕入れてものをつくるメーカーは、商品価格を上げなければ収益が悪化してしまいます。だから、商品の値上げをせざるをえません。値上げの要因のもうひとつは、円安の影響です。2020年は1ドル=107円前後だったものが、2022年には1ドル=150円台に乗る日もありました。日本は燃料や原材料の多くを輸入に頼っています。円安が進むと、そのぶん仕入れコストが増加し、商品の値上げにつながってしまうということです」

 では、そもそもなぜ円安が進んでいるのか。その要因のひとつとして、根本さんはアメリカでの急激なインフレを挙げる。

 「最近までアメリカでは、ものすごい勢いで物価が上がり続けていました。適度なインフレなら問題ないのですが、急激なインフレは経済の成長を妨げます。だからアメリカの中央銀行にあたるFRBは、インフレを抑えるために、金利を上げるという政策をとりました。高い金利では、企業はお金を借りづらいし、個人も投資を控え、銀行に貯金をするようになる。また、市場に出回る現金の量を減らす「量的引き締め」の導入により、インフレを抑制していくことを目指しています。その一方、日本はアベノミクスから続く超低金利政策です。つまり、日米で金利格差がある。円よりもドルで資産を保有していた方が、高金利の恩恵を受けることができるのです。だから、円を売ってドルが買われ、円安になっていったのです」

 さまざまな要因によって起こる物価上昇だが、根本さんは必ずしもネガティブなことばかりではないと考えているという。

 「インフレは、賃上げの機運も高めます。最近、大企業による賃上げのニュースもよく聞きますよね。この波は、経済にとって良いことだと思っています。給料が上がれば、購買力も上がり、企業も商品価格を上げやすい。きちんと利益が上がれば、それがまた社員に還元され、経済の良い循環を生むのではないでしょうか。円安に関しても、決して悪い側面だけではありません。海外からの旅行者にとって、円安はとても魅力的です。渡航制限も緩和され、インバウンド消費が盛り上がるはずです」

 一見、不安になってしまう経済ニュースも、その背景を知れば、好転への兆しも見えてくる。日ごろから経済の動きを知り、自分の資産形成に役立てたい。

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根本寛朗さん

FP Office株式会社 取締役兼ファイナンシャルプランナー(FP)。証券会社や外資系生命保険会社での勤務を経て、2015年にFPとして独立。10年以上もの間、金融実務を経験してきた独立系FPとして、個別相談を中心に活動している。資産形成や資産運用の相談を得意とし、年間300件以上のライフプラン相談を担う。ほかにも、新聞やWEB媒体の記事の監修・執筆や、企業の社員向けの金融セミナーの講師など、幅広く活動。


Q1
インフレとデフレって?

A
インフレーション=モノの値段が全体的に上がり、お金の価値が下がること
デフレーション=モノの値段が全体的に下がり、お金の価値が上がること

たとえばインフレ率2%であれば、はじめは1000万円だったお金の価値が、20年後には673万円まで下がってしまいます。そのぶん、支出を抑えたり、収入を上げたり、資産運用をしたりして、自分の資産を守っていく必要があります。

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Q2
どうして日本ではなかなか賃金が上がらないの?

A
日本では、昔から終身雇用(企業が従業員を定年まで雇用する制度)や年功序列型(勤続年数を考慮して賃金や役職を決定すること)といった働き方が根付いていました。そのため企業は、従業員の雇用を守るために、なかなか賃上げができなかったんです。同時に、これまでさまざまな不況を経験してきたため、いざというときに備えて、社員への還元を後回しにしてきたことも挙げられます。海外では、賃金が上がっていかなければストライキや暴動が起こることも少なくありませんが、日本ではほとんど見られません。そうした国民性も、関係しているかもしれませんね。

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出典:OECD database (注)購買力評価実績ベース。ドイツのみ1991年以降の数値 
指数はドイツのみ1991年=100






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