働き方が多様化する今、多くの企業では、個人のさまざまな事情を尊重し、誰もが自分らしく働ける環境づくりを重視している。会社の制度を利用して毎日をより充実させているのは、TOPPANの加藤あすかさん。日々の暮らしにどんな変化があったのか。コーヒーブレイク中に話を聞いた。
平日も有効に活用
柔軟な働き方で家族の時間に
大盛況で閉幕した「2025年大阪・関西万博」。加藤さんは、万博でも展示された培養肉の開発にかかわっている。細胞を立体的に、3次元で培養するためのバイオ材料の研究だ。
「研究には、細胞の培養が欠かせないのですが『一緒に働く同僚の中で細胞が一番わがまま』といわれるくらい、手間がかかるんです。細胞の生育環境である培地の交換だけで半日かかることもあります。もちろん細胞も生き物なので、調子が悪ければ土日も関係なく研究室に行くことになります。動物のお世話に近い感覚です」
土日出勤だけでなく業務上、時間の制約もあるが、「研究開発部門の裁量労働勤務制度」によって、家族と充実した生活を送っているという。
「この制度は、業務遂行の手段や時間配分などに多くの裁量をもてるんです。勤務時間など働き方への柔軟性が高いため平日にある保育園の参観日や行事にも参加しやすい。子どもが病気になっても在宅勤務を併用すれば、夫と交代しながら眠っている子どもの横で仕事ができるので、助かっています」
加藤さんは「家族と夕飯を囲む時間を大切にしたい」と時間の融通の利くこの制度を選んだ。しかし、研究室にいる時間が減ったことでほかにも気づいたこともあった。
「より大事にするようになったのは、同僚とのコミュニケーションです。研究内容が違っても、ほかの研究者との雑談から面白い提案やアドバイスが出ることがたくさんあるんです。先日も、それでトラブルが解決しました。なので、研究室にいる間は、とにかくいろんな人に話しかけるようにしています(笑)。」
自由度の高い働き方は、いま目の前にある仕事と家庭を両立させるだけでなく、その先に続く自身の人生の選択肢を増やすことにもつながっているようだ。
「いま、会社の後押しもあって、博士号を取るための学位研究もしています。取得できれば、自分のキャリアの幅が広がるかもしれません。具体的にはまだわかりませんが、新しい挑戦ができたらうれしいですね」
加藤あすか(TOPPANホールディングス株式会社)
2013年に入社し、2年の営業職を経て、研究職へ。2023年には、大阪大学と4つの民間企業で設立された「培養肉未来創造コンソーシアム」の「培養肉社会実装共同研究講座」にて培養肉の研究開発に力を注ぐ。
「研究開発部門の裁量労働勤務制度」とは?
本制度は、専門性の高い業務の性質上、働く時間や進め方を本人の裁量に委ねる働き方。時間ではなく成果で評価するしくみだ。

子どものイベントには積極的に参加
積み重ねる家族の思い出
休日を自分で決めやすいこともあり、子どもと平日のテーマパークへ行ったことも。ダンスを習っている子どもがCM出演することになり、撮影に付き添ったことも印象的な思い出。普段の仕事では、週の半分ほどを実験にあて、他の日は実験データのまとめや予算管理などしている。

同僚に聞いたリラックスできる場所

Verde Regalo(ヴェルデ・レガーロ ベーカリー)
住|東京都千代田区東神田3-1-15
営|8:00 - 20:00、モーニング 8:00〜10:00、ランチ 11:30〜14:00
休|日・祝日
本社で働く社員の間で評判のベーカリーカフェ。普段、大阪が勤務地の加藤さん。パンが好きで、その存在を知って気になっていたそう。噛み応えのあるハード系のパンが豊富。緑に囲まれたテラス席は、木漏れ日が差し、ほっと一息つける空間になっている。