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vol.4 森田望智(俳優)[観る・聴く・読む・考える 光が紡ぐ言葉]

映画/ドラマ

 映画、音楽、演劇、小説にアニメーション......日々新しい文化芸術が生まれる街で、そのつくり手たちは、どんなことを考えているのだろうか。今回、俳優の森田望智(みさと)さんに伺ったのは、新しい年のはじまりに“大切にしていきたいこと”。


輪郭をととのえた先に
見えたもの

 10代の頃から俳優として歩みを重ねてきた森田望智さん。作品ごとに喋り方から表情まで演じる人物像をがらりと変えてしまうことから、憑依型と形容されることが多いけれど、ご本人は「憑依という現象は信じていないんです」と語る。

 「私は役をつかむまでに苦労するタイプで、身体の使い方も含めて、どう表現するかは、とにかく積み重ねだと思っています。芝居で大切にしているのは、相手役から受け取るもの。その瞬間に生まれる表現を大事にしています。役を自宅に持ち帰るタイプではありません。癒やしは犬と過ごす時間で、リフレッシュは映画を観ることです」

 先行公開された海外で高い評価を受けているHIKARI監督の『レンタル・ファミリー』が日本でもついに公開。森田さんが演じる佳恵はある切実な理由から、家族の代理役を派遣する人材エージェントから偽の新郎役をレンタルし、結婚式を挙げる。

 「自分がどう生きたいかよりも、相手の気持ちを優先してしまう場面は少なくないように感じます。そうした中で、私が演じた佳恵が新郎をレンタルするという選択も、家族をできるだけ傷つけずに前へ進もうとしたひとつのかたちとして、あり得るのではないかなと思いました」

 新郎役として派遣されたフィリップ役のブレンダン・フレイザーはハリウッドで成功するものの、離婚や母親の死の影響で一時期、活動を控えた時期がある。森田さんは彼からさまざまな気づきを得たという。

 「全部の台詞が芝居を忘れてしまうほどナチュラルで、ブレンダンさんに大切にしていることを聞いたんです。返ってきたのは“Less is More”という有名な言葉で、少ないほうが豊かだという意味。悲しいとか怒っているとか嬉しいとか、感情は大きく表現するより、削って削ってシンプルにしたほうが最終的に人に伝わると。すごく大切な言葉をいただきました」

 気づきという点では10代でアメリカに留学し、日本の文化や美しさを見つめ直したHIKARI監督の視点からも多くを受け取ったそう。

 「劇中で、東京・神楽坂で秋に開催される『神楽坂 化け猫フェスティバル』が出てくるのですが、これまで神楽坂を訪れたことがなくあんなに個性的なお祭りがあることを知って驚きました。大きなお祭りだけでなく地域ごとの小さなお祭りにも、これからもっと目を向けて足を運びたいと思います」


□1996年、神奈川県生まれ。2019年公開のドラマ『全裸監督』で「第24回釜山国際映画祭」最優秀新人賞を受賞。その後も、2024年のNHK連続テレビ小説『虎に翼』をはじめ『いつか、無重力の宙で』など近年の話題作に出演。そして2027年度前期の連続テレビ小説『巡るスワン』では主演に抜擢され、いままさに注目を集める俳優。


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映画『レンタル・ファミリー』
2026年2月27日(金)日本公開

監督:HIKARI
出演:ブレンダン・フレイザー、平岳大、山本真理、柄本明、ゴーマン シャノン 眞陽ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン



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