photo: Shigeo Kosaka text: Keiko Ageishi edit: Kohei Nishihara(EATer)

半径5mの世界を変える!/カラダと対話し将来をイメージしよう![半径5mの世界を変える!]


 2021年に発足したフェムケアプロジェクトでは、2022年から3月8日の「国際女性デー」に合わせて、毎年イベントを開催してきました。

 2023年の「フェムテックを、もっと!」では、正しい知識を身につけることの重要性を、2024年の「知るって、やさしい一歩!」では
他者を理解しようとする姿勢の重要性にフォーカス。4年目となる今年は、そこからさらに一歩踏み込んで、自分と身近にいる人たちを、少しでもいい方向へ変えていくべく、小さなアクションを後押しできるようなオンラインセッションを開催しました。

 本特集では、そのセッションのダイジェストをご紹介します。セッションはアーカイブも配信中です。併せてご覧ください。他にも特集内では、行政や企業のさまざまな取り組みもご紹介します。また、3月30日には、リアルイベントも宝島社と共同開催。こちらもぜひ、遊びにきてください。

 今日より明日が少しでもよくなりますように。

 一人ひとりの小さなアクションが、世界を少しずつ変えていきます。

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フェムケアプロジェクトとは

メトロポリターナを発行する産経新聞社が2021年10月に立ち上げた、女性特有の健康課題や働き方に関する情報発信を通じて、相互理解を目指すことをビジョンに掲げたプロジェクト。


国際女性デー×フェムケアプロジェクト
半径5mの世界を変える!
─ココロとカラダに向き合い“対話”につなげる2DAYS─

《DAY 1》
オンラインイベントアーカイブ配信中!

現在、3月8日に行われたオンラインイベントのアーカイブを無料配信中。芸人のおかずクラブさんをゲストに招いたセッションや、「トラハブ」の成果発表など、3つのセッションをお楽しみあれ!

session
産婦人科医 高尾美穂先生 × お笑い芸人 おかずクラブ
カラダと対話していますか?
「心地よい私」の見つけ方大作戦

session
Ridgelinez株式会社 × 産経新聞社
半径5mからはじめる、職場のモヤモヤ解消法とは?
ーDEI体感プログラム「トラハブ」で見つけた“対話”の可能性ー

session
EVeM 滝川麻衣子さん × 産経新聞記者 篠原那美
職場の心地よい対話はどうやって生まれる?
ヒントはマネジメント改革に「年功序列・上意下達」
“昭和型”コミュニケーションを越えていこう


《DAY 2》3/30 SUN
Fem&Beauty&Future
-半径5mの世界をどう変える?-
リアルイベント申込受付開始!

リアルイベントは宝島社と共同開催! 本当の「キレイ」とはなにか。自分らしさを表現していくことが、内面的な美しさや、彩りのある人生につながるのでは。会場では半径5mを変えていくためのゲストトークや体験コンテンツ、ブースなど、アクションにつながるヒントが満載! イベントのフィナーレには宝島社が過去2回実施してきたフェムケアに関する著名人、商品・サービスを表彰する「もっと話そう! Fem&」アワードの授賞式も実施。

日時:3月30日(日)13:00スタート予定
場所:スパイラルホール(港区南青山5-6-23 3F)
申込期日:3月14日(金)23:59


アーカイブ視聴
リアルイベント参加申し込みは
こちらから

https://www.sankei.com/special/femcareproject/event/2025-mar/

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KEY SESSION
高尾美穂先生×おかずクラブ
カラダと対話し将来をイメージしよう!

産婦人科医の高尾先生に、おかずクラブの2人がお悩み相談。
自分のカラダとどう対話するか、そのヒントが詰まったキーセッション!

session
カラダと対話していますか?
「心地よい私」の見つけ方大作戦

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衣装協力:PUNYUS(おかずクラブ ゆいPさん、オカリナさん)

登壇者(写真左から)
産婦人科医 高尾美穂先生
おかずクラブ オカリナさん
おかずクラブ ゆいPさん
メトロポリターナ編集長 日下紗代子


5年後をイメージして
「心地よい私」になろう!

ゆいP:私は体重が過去最高の126キロになり、生理が3カ月くらい止まったことがありました。婦人科を受診して、体重が増えすぎるとホルモンバランスが崩れて生理が止まることがあると知って驚きました。そこから1年かけて85キロまで落としたら生理がちゃんとくるように。改善すればカラダは応えてくれるのだと思いました。

オカリナ:私は病院がきらいで、カラダを温めたり下着をシルク製にするなど、医療に頼らずにカラダと対話したいと思っています。健診は、元気でも何かしら病名がつけられて病気にさせられるような気がしてイヤなんです。

ゆいP:でもコンビでやっているし、一人だけのカラダじゃないので私としては健診に行ってほしい。高尾先生、どうしたらオカリナを説得できるでしょうか?

高尾:健診は一つの選択肢なので、オカリナさんのように自分で選択する感覚はあっていいと思います。とはいえ、ゆいPさんはもどかしいですよね。人間関係においては「自分は変えられるけれど、他人は変えられない」が大前提ですが、「他人は変えられない」というのはなんとなく寂しい気持ちになる言葉です。だから「自分(私)は変えられる」の主語を変えて「私たちは変えられる」にしたらどうでしょう。「私たち」とは「私」を含めた身近なコミュニティのことで、近しい人とともに変えていけると考えてみるんです。


妊娠についての悩み

ゆいP:お互いにその考えを共有して歩み寄りながら変えていけたらいいですよね。あと私にはもう一つ「カラダとの対話」で悩みがあり、このまま年をとって一人で死んでいくのかなと不安に思うときがあるんです。いま38歳で結婚したい相手がいるわけでもなく、いますぐに子どもが欲しいかといえばそうでもないのですが…妊娠できるリミットが迫ってきて、漠然と怖いなと思ってしまいます。

高尾:いまは42歳ごろまで妊娠・出産にトライされる方も多い時代です。その流れに加わるかどうか…望んだ人生に向かってアクションを起こすのは自分です。そのためには、将来どうしたいのかを、いま一度立ち止まってしっかり考えてみることも大事でしょう。お二人の場合は、タイムリミットがくる3〜5年後にどういう状態でいたいかを考える必要があると思います。

オカリナ:高齢出産はリスクがあると聞きますし、もし子どもが健康じゃなかったらどうしようという不安も。

高尾:どれだけ科学や医学が進歩しても、子どもを持てるかどうか、どんな子が生まれるのか、どんな分娩方法になるのかは選べないものです。妊娠出産に際しては、意図しない流れの中で自分や子どもの状態を「受け入れる」という表現がマッチすると思います。


卵子凍結はしたほうがいい?

オカリナ:最近卵子凍結について聞くこともあって。年齢によっては卵子凍結を考えたほうがいいのでしょうか? 

高尾:卵子凍結は当初、病気が原因で妊娠できる可能性が失われる方の遺伝子を残すための手段でした。今は働く女性が増え、仕事を優先して妊娠出産の時期を先延ばしするための選択肢になってきています。卵子凍結はその先の人生設計があればトライする価値がありますが、それもなくとりあえず行うのはあまり賛成できません。人の手で卵子を管理するのでミスや卵子が劣化して使えなくなることも起こり得ます。完璧でないと理解しながら上手に利用しないと人生設計に生かせない方法なんです。ですから卵子凍結するかどうかに関わらずしっかり将来設計をすることは必要です。その上で目指す未来に向かって今日できること、1カ月以内にできること、1年以内にできることというタイムスパンでアクションを起こしてみてはどうでしょうか。


将来を具体的にイメージしよう

オカリナ:妊娠出産のベストタイミングというのも、あるのでしょうか? 

高尾:卵子の状態は35〜36歳くらいから大きく変化し、うまく受精しても育たないとか子どもに何かしらのリスクが高くなるとか、母体の合併症も増えたりすることも。そう考えると妊娠出産をおすすめしたい年代は20代の前半〜30代の半ば過ぎまで。できれば30代の半ばまでには出産するかしないかの方向性を決めて、アクションを起こすといいかもしれません。自分の遺伝子を持つ子どもがほしいのか、それとも子育てを経験したいと思っているのかでも選択肢は違ってきます。この時期は楽しいこともたくさんあって、いろいろと迷ってしまうのはよくわかりますが、どんなときに幸せを感じ、どういうライフスタイルが心地よいのか…また近い未来に実現したい働き方や暮らし方、どんな家族構成でいたいのかなど具体的にイメージしてみるといいと思います。心地よいライフスタイルは、一人暮らしなら自分さえ決意すれば実現できる部分も多いけれど、パートナーや家族と暮らしていれば人間関係も関わってきます。身近な人に対しては「自分のことをわかってくれて当然」と思ってしまいがちですが、たとえば女性と男性のパートナーシップでは、女性の健康課題、たとえば生理痛や妊娠についての悩みはちゃんと伝えることが大切だと知っておく必要もあるでしょう。自分が心地よい時間をなるべく多く持つためには、困っていることや相手に協力してもらいたいことを具体的に伝えるとか、逆に相手の困っていることについても聞いてみることです。どんな人に対しても自分の思いが100パーセント届くわけではないことを大前提とし、行き違いが生じたときには「伝わっていないんだな」と理解すれば、ちゃんと伝える努力もできます。私もこの年になって、自分にとっての正義はほかの人にとっての正義ではないことや、その人の背景にある事情を想像できるようにもなってきました。許容範囲が広くなり誰かとコミュニケーションするときにも「これって違うじゃない」と攻撃的な気持ちが起きなくなると、ラクなんですよね。この姿勢が、誰かと過ごすときの心地よさのベースかなと思っています。


「私たち」なら変えられる

ゆいP:お話をお聞きし、まず5年後の自分を想像しようと思いました。

オカリナ:私は伝えたいことが伝わらないことが多いので、気持ちを過不足なく説明することは、心地よい環境づくりのためにも大事だと思いました。

高尾:何を大事にしたいのか、何を変えていきたいのかは、やはりご自身にしかわからないことです。でもそれを冒頭でお話ししたように、「自分(私)は変えられる」の主語を置き換えて「私たちは変えられる」として、お二人のように仕事上のパートナーなど半径5メートルの身近な関係性で共有し、みんなでよりよい未来へ向かっていけたらいいですね。


アーカイブ視聴はこちらから
https://www.sankei.com/special/femcareproject/event/2025-mar/

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おかずクラブ
ゆいPさん

1986年生まれ。NSC東京15期生。2009年にオカリナとおかずクラブを結成。コンビで、ダイエット企画や乳がん・子宮頸がんの啓発イベントへの出演でも注目を集め、多くの女性から共感を得ている。

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おかずクラブ
オカリナさん

1984年生まれ。看護師として病院に3年間勤務後、NSC東京15期生となる。2009年にゆいPとおかずクラブを結成。コンビで美容に詳しくYouTubeなどで発信もしている。

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産婦人科医
高尾美穂先生

医学博士、産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院産婦人科助教などを経て、現在は診療の傍ら、女性の健康やセルフケアにまつわる発信を行う。





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