「CALM」ゾーンの「サウンドビオトープ・システム」はYAMAHAとクリエイティブ集団Konelが担当。不規則に響く水琴窟の音で心地よいゆらぎを体験できる。

虎ノ門ヒルズの新しい本屋さん「知が湧きあがるmagmabooksへ」[本と出会いたい]

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丸善ジュンク堂書店が、虎ノ門に新刊書店をオープン。さまざまな仕掛けが潜む新しい本屋さんを訪ねた。


「集中」と「緩和」の相乗効果で
ひらめいたアイデアをその場で形に!

 いま、街の本屋さんはどんどん減っている。その理由は、スマホやECの普及や、出版システムの問題などさまざまあるけれど、そんな時代だからこそ、リアル書店もさまざまな仕掛けを試みている。丸善ジュンク堂書店が虎ノ門ヒルズ・グラスロックに4月にオープンした「magmabooks」も、そんなたくさんの工夫が詰まった書店のひとつだ。

 そのコンセプトが「知は熱いうちに打て。」だ。読書で生じた知的興奮が冷めないうちにアウトプットへとつなげるサポート役を目指し、本が並ぶ「知と触れ合う場」という従来の書店の機能に「知を生み出す場」の機能をプラスした。店長の渡辺さんは、店の特徴をこう語る。

 「大きな特徴のひとつは、目の前のことに没入できる『FOCUS』ゾーンと、集中から解放されて思考を緩和する『CALM』ゾーンの2つの有料エリアを設けたことです。この2つのエリアを行き来して、集中と緩和を繰り返すことで、創造性を高めていただければと考えています」

 「FOCUS」ゾーンには、半個室30ブースを設置。ブースでは、店内の本を持ち込んで読書をしたり、PCを開いて仕事をしたりできる。没入感が高まるように設計された照明やニューロミュージックが流れていて、文字通り本や仕事に“集中”できる環境が整っている。

 一方、「CALM」ゾーンは靴を脱いでリラックスできるスペースで、照明を落とした部屋の中央には水盆があり、水の滴る音と、水面の陰影による「サウンドビオトープ・システム」で静寂な時間を過ごせる。

 「書店は“生きもの”です。この街の人たちとともに、店も変化させていければと思っています」と渡辺さん。2フロアの店内には、全国の丸善ジュンク堂書店員が選書した文脈棚があり、店内探索を促す「問い散歩」などの仕掛けも。そんな知の森を散策すれば、思わぬ出会いが待っているはずだ。

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2フロア(約270坪)の店内を森に見立て、森を散策するように本との出会いを楽しめる。入り口付近に設置された「問い」を片手に本を発掘する仕掛けも。

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「FOCUS」 ゾーンの半個室利用料金は1時間1800円、終日5000円。完全個室は1時間2100円、終日6000円。店内の本を3冊まで持ち込める。

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MAGMABOOKS

港区虎ノ門1-22-1
グラスロック 2・3階
Tel. 03-6273-3873
[営]11:00~20:00
※magmaloungeは平日 9:00~20:00 、土・日・祝 10:00~20:00
[休]無休  
@magmabook


【COLUMN 1】
拡張する本の楽しみ方

 本は日々たくさん出版される。その数は、1日あたり約200点。とてもじゃないけど、すべての新刊情報を追うことはできない。だからこそ、新聞や雑誌に掲載される書評は、面白い本を知るための大きな手がかりになる。本を紹介する人は、本を届けることの担い手でもある。そしていま、その届け手として存在感が強いのは、やはりYouTuberをはじめとしたインフルエンサーだ。

 たとえば、なんとうさんにおすすめを聞いてみると「BSよしもと公式チャンネル(@bsyoshimoto)の『第一芸人文芸部』企画は、本好き芸人が推し本を紹介してくれて、さすがの話芸で読みたくなります。オンライン&リアル書店のチャプターズがやっている『楽しい本と書店員』(@chapters.bookstore)では、スタッフが本屋に行って1万円分の本を買うという企画があって、本を読む前のやり取りだからこそおもしろい。『有隣堂しか知らない世界』(@Yurindo_YouTube)は、本を愛する書店員さんが出演するだけあって、本の紹介もしっかりと。見応えがありますね」とのこと。

 magmabooksもオープンにあたり、インフルエンサーのけんご(@kengo_book)や「とうふの本棚」(@otofu_books)のとうふさんが来店して話題に。ヨビノリたくみさんと斎藤明里さんのMCの2人が本の紹介をする「ほんタメ」(@hontame_)で開催している「ほんタメ文学賞」では、『セルフィの死』も候補作に挙がり、書店でも特設コーナーが設けられた。

 このほかにも、読書系と呼ばれるようなSNSアカウントはたくさん。紹介するスタイルもさまざまだ。それらは、本と出会うための手段でもあるが、買って読むだけではない本の楽しみ方を教えてくれる。お気に入りのアカウントを探してみよう。



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