《音楽日々帖》水も滴るいい音楽


 雨の季節がやってきました。6月は「水」を連想させる音楽3選です。

 接近!UFOズの『水の発見』は、京都を旅行した時に訪れたレコードショップで店員さんにすすめられ手に取ったアルバムです。バンド名はへんてこだし、ジャケットの第一印象は「こども用折り紙?」でしたが、日本語の情緒漂う歌詞と、ネバーヤングビーチにも通じる肩ひじ張らないリラックス感がたまらず、試聴してすぐに購入しました。歌詞には雨、水槽、ウシガエルなど「水」に関連するモチーフが登場します。

 水の音が使われている名曲といえば、コーネリアスの『ポイント』に収録されている「ドロップ」。チャポン、パチャパチャ、ブクブク…という効果音の鳴る位置が緻密に設計されていて、「ドロップ」をヘッドフォンで聴くと、まるで美容院でシャンプーされているみたい! サラウンド・システムのように立体的な、コーネリアス特有の音づくりが光る1曲です。

 イタリアのルドヴィコ・エイナウディの曲にも、コーネリアスと同じ「ドロップ」というタイトルの曲があります。弦楽器のピッツィカートは跳ねる雫、ピアノの残響音は流れ伝う水や立ち込める霧を思わせます。「ヨーロッパの若者は今、ビョークやレディオヘッドを聴くようにエイナウディを聴いている」とは業界関係者談。日常と切り離された場所で鳴っているような、アートとも取れる音楽ですが、乾いた空気が湿気を帯びるように、日常の中へやすやすと溶け込んでしまうのは不思議です。

 雨の憂鬱を和らげる水を感じる音楽、いかがでしょう。

接近!UFOズ『水の発見』

京都を拠点に活動する4人組ポップバンド。2016年11月に結成され、本作がデビューアルバムとなる。実は、メンバー全員が京都大学大学院に在学中という超高学歴バンド

UFO 2 UFO Records 2017

CORNELIUS『POINT』

小山田圭吾によるソロ・プロジェクトの4作目。7月のフジロックに、小沢健二と同日の出演が決定し話題を呼んでいる。6月28日にニューアルバム『Mellow Waves』発売

PRYAID RECORDS 2001

LUDOVICO EINAUDI『elements』

イタリア・トリノ生まれの作曲家/ピアニスト。クラシックをベースにした美しいミニマルサウンドを奏でる。映画『最強のふたり』などサウンドトラックを数多く手がけている

ユニバーサルミュージック 2016

selection&text:稲葉智美(いなば・ともみ)

ラジオDJとして活動するほか、BGM選曲やナレーションを手がける。J-WAVE『ZAPPA』ナビゲーター(毎週土曜5時)。梅雨の楽しみは「梅干しづくり」

Twitter: @tommyjan15





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