2018年もそろそろ折り返し。上半期の音楽を振り返ると、2016年に亡くなったプリンスへの愛を表現するアーティストが多かったように思います。ジャスティン・ティンバーレイクは2月、プリンスの地元ミネアポリスで行われたNFLスーパーボウルでトリビュートパフォーマンスを披露。さらに最新アルバム『MAN OF THE WOODS』の試聴会をプリンスの聖地、自宅兼スタジオであったペイズリー・パークで開催できて感無量の様子でした。
3月には、プリンスとシャーデーに多大な影響を受けたスターチャイルド&ザ・ニュー・ロマンティックがデビュー。アーバン系ソウル&ファンクといった雰囲気で、ファルセット(裏声)の使い方から「Only If U new」という曲で、youを「U」と表記しちゃうところまでプリンス愛に溢れています。
上半期もうひとつのプリンス案件は、「生前のプリンスが制作に携わった」と噂されていたジャネール・モネイのアルバム『Dirty Computer』のリリース。2人はペイズリー・パークでジャムセッションをし、5時間にわたり意見を交わしたそうです。「Make Me Feel」が「Kiss」を、「Americans」が「Let’s Go Crazy」を彷彿とさせますし、人種・ジェンダー・アメリカというテーマに踏み込んだ本作は、あらゆる区別を越えてヒューマニティを尊重してきた殿下のスピリットにも大いに通じるものがありました。プリンスの音楽性や精神は、急逝から2年が経った今もアメリカのポップスターの中に生き続けているんですね。
JUSTIN TIMBERLAKE『MAN OF THE WOODS』
カントリー、ゴスペル、ブルースといったルーツサウンドを取り入れ、“森の男”というタイトル通り、アメリカ南部出身者としてのアイデンティティを色濃く打ち出した1枚

STARCHILD & THE NEW ROMANTIC『Language』
NY拠点のプロデューサー、シンガーソングライターであるブラインドン・クックによるソロプロジェクト。ソランジュやブラッド・オレンジの作品に参加し、注目度急上昇中

JANELLE MONAE『Dirty Computer』
映画『ムーンライト』や『ドリーム』で女優としても大活躍中の“未来型ソウルディーバ”による3rdアルバム。ブライアン・ウィルソンやグライムスら、豪華な客演も聴きどころ
