冷え込みが強まるいま、「おうちに帰りたくなる音楽」特集です!
この秋「おかえり!」なのはジョン・バトラー・トリオ。『Home』という名のニューアルバムを4年半ぶりにリリースしました。人生という名の海を漂流する男が、錨を降ろす岸を探しているような歌の数々には、ジョン・バトラー自身の苦悩や葛藤が色濃く投影されているそう。土臭いオーガニックサウンド圧巻のギタープレイはそのままに、新たな音づくりに挑むなど、年月分の試行錯誤が帰結した渾身の一作です。
ハンバート ハンバートの『家族行進曲』は、公私ともにパートナーであり3児の親でもある2人のライフスタイルが滲み出た作品。家族っていちばん小さな共同体なのに、エピソードの数は無限大ですよね。おかしなことも深刻なこともあって日常は複雑だけど、やっぱり愛おしい。早くおうちに帰って家族の顔が見たくなる、ほっこりじんわりな1枚です。
韓国出身セイ・スー・ミーの「Old Town」は、慣れ親しんだ街を出て行きたい気持ちと留まりたい気持ちが交錯する曲。イギリスのBBCでの大プッシュを追い風に世界進出へと帆を揚げた彼らですが、やっぱり地元の釜山には後ろ髪引かれる思いなのでしょうか。“私たちのいた場所”というアルバム名といい、90年代オルタナやシューゲイズへの憧憬といい、団地の公園を写したジャケットといい、ノスタルジックさ漂うインディーロック・アルバムです。
帰り道に聴いたら、より足早になりそうな3枚、いかがでしょう?
JOHN BUTLER TRIO『Home』
オーストラリアの超絶技巧ギタリスト、ジョン・バトラーを中心としたトリオ。今作はラップトップPCを使った制作に初挑戦。より緻密で迫力のあるサウンドに仕上がっている
ハンバート ハンバート『家族行進曲』
アコースティックな夫婦デュオ。細野晴臣、長岡亮介ら参加の9作目。子どもとの週末を尊重するため「2019年ハンバート ハンバートは平日しかライブをしません」と宣言
SAY SUE ME『Where We Were Together』
2012年結成、韓国・釜山出身の4人組。90sロックや60sサーフロックを感じさせるサウンドと、イノセントな女性ボーカルが瑞々しいインディーロック・ファン必聴の2作目