まだまだ楽しめる クリスマスソングの世界《音楽日々帖》


 世の中にクリスマスソングは数多あれども、毎年必ず新作が生まれてきます。それらをクリスマスコフレのごとくチェックしている私に、その魅力を語らせてください!

 そもそもクリスマスソングには、歌い継がれる定番曲とオリジナル曲があるわけですが、定番曲の醍醐味はアーティストが個性を競い合うアレンジです。プスンブーツの新作EPには「Silent Night(きよしこのよる)」の脱力アレンジが収録されています。厳かなアレンジが多いなか、これは大胆! ゆらゆらのハーモニーに「ま、ほろ酔いの聖夜もいいじゃんね」という気分になってきます。他にもマライア・キャリーやマイケル・ブーブレなど多数のバージョンがあるので、聴き比べていけば“マイ・ベスト・きよしこのよる”に出会えるかもしれませんよ⁉

 一方オリジナルの傑作ならば、シーアの『Everyday Is Christmas』を推します。ポップでハッピーなだけではなく、「Puppies Are Forever」には迎えるなら保護犬をというメッセージが込められていたり、「Ho Ho Ho」では周囲に馴染めない人を輪に招き入れたりと、エシカル&ダイバーシティな内容が今っぽい。そう、クリスマスソングの歌詞も時代とともに進化しているんですね。

 そして忘れてはならないチャリティソング。キラーズのクリスマスソングはHIV支援になるだけでなく、歌詞が趣向を凝らしたショートストーリーになっています。それらを収めた『Don’t Waste Your Wishes』は、さながらクリスマス短編集。クリスマスソングは耳タコ…という方も、ぜひご一聴ください。

 

PUSS N BOOTS『Dear Santa..』

 ノラ・ジョーンズ率いるオルタナティヴ・カントリー・トリオによる初のクリスマスEP。ちょっとヤケクソでユーモラスな4曲のオリジナルソングと「Silent Night」のライブ音源を収録

metro204_ongaku_inner02.jpgUniversal Music 2019


SIA『Everyday Is Christmas 』

 60sのクラシックなテイストを盛り込みつつ、思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディー。グレッグ・カースティンとのゴールデンコンビで制作された、ホリデイアルバム

metro204_ongaku_inner03.jpgWarner Music Japan 2017


THE KILLERS『Don’t Waste Your Wishes 』

 本作の全売り上げはHIV支援団体(RED)に寄付。善良な石炭が起こした奇跡「Joel the Lump of Coal」、まさかの恩師登場で涙腺崩壊の「I’ll Be Home For Christmas」など珠玉の11曲

metro204_ongaku_inner01.jpgIsland Records 2016





この記事をシェアする

LATEST POSTS