巣ごもり生活でコーヒーミルをグレードアップしたら、おうちコーヒーが劇的においしくなりました。それはもう、高音質のイヤフォンで音楽を聴くくらいの変化で。コーヒー沼にハマりながら、コーヒーと音楽のペアリングをお届けいたします。
深煎りのコーヒーには、サウンド・プロヴァイダーズはいかがでしょう?BGMとして心地よくも、重めのビートにパンチの効いたラップが、どっしりしたダークローストっぽいです。Jazzy Hip Hopは、近年ブームのLo-Fi Hip Hopの源流となった音楽スタイルで、当時カフェでも聴けるHip Hopというのは画期的でした。サンプリング元を深煎り…もとい深掘りして、さまざまなジャズ音源に出会える奥深さもあります。
フルーツやお花にたとえられる、浅煎り特有の華やかなアロマ。ダーティー・プロジェクターズの『Lamp Lit Prose』は、まさにそんなイメージです。おもしろいのは、意図的に低音を目立たせない音づくりをしているところ。高音が際立つことで、音楽全体が明るい印象になるんです。クラフト感のある楽器やコーラスが有機的に絡み合う、一度聴いたら忘れられないサウンドです。
バリスタの職人技が光るカフェラテには、ブレイク・ミルズの最新作を。アラバマ・シェイクスやローラ・マーリングのプロデュース作もそうでしたが、しっとりと“ぬめり感”のある音というんでしょうか、程よい引っ掛かりがある質感に、ただならぬ凄みを感じます。音楽は、技術とセンスと機材が大切。ミルクとコーヒーを合わせることも、そういうことなんです、きっと。
THE SOUND PROVIDERS『AN EVENING WITH THE SOUND PROVIDERS』
1998年にサンディエゴで結成されたプロダクション・チームのファーストアルバム。90~00年代にかけて隆盛を極たJazzy Hip Hopシーンの金字塔的作品
DIRTY PROJECTORS『Lamp Lit Prose』
NYブルックリン出身のバンド。 シド、タイヨンダイ・ブラクストン、ハイム、ロスタム、ロビン・ペックノールドら豪華なメンバーが集ったポジティヴなエネルギーに溢れる傑作アルバム
BLAKE MILLS『Mutable Set』
LAのプロデューサー/ギタリスト。今年はボブ・ディランやパフューム・ジーニアスの最新作に関わる。立体的な音響で奏でるフォーク/アンビエント路線のソロ4作目