ニューエイジやアンビエントが、いま静かにリバイバル中です。空間にすっと溶け込んだり、反対に壮大なランドスケープを想起させたり。スペーシーな音の広がりが仮想現実みたいだなと思っています。
岡田拓郎とダエンが、『都市計画(Urban Planning)』を発表しました。少ない音数で描く都市のスケッチは、整然とした建築模型のような趣も。「Hana To Midori To Hikari」と「Green Park」は、音のパターンが似ているので、緑地を記号化しているのかな?などと、想像をかき立てられるのも新鮮です。このアルバムは近所を散歩しながら聴くのがオススメ。見慣れた景色が電子音と重なって、AR=拡張現実みたいな感覚が味わえますよ。
一方で、ニューエイジ色を強く打ち出したギャング・ギャング・ダンスの『KAZUASHITA』のように、世界観に没入できるタイプのアルバムも。シャーマニックな歌声とあいまって、別の惑星にワープしたかのようなSF感は唯一無二です。
サム・プレコップの『Comma』では、アンビエントにビートプログラミングを使用。浮遊感のある電子音のなかに四つ打ちのビートが入ってきたかと思えば、攻撃的なサウンドが展開されたりと、多彩なシンセワークが光ります。近未来の街をドローンで撮影しているかのような、非現実的な雰囲気が印象的でした。
バーチャルな体験が身近になったニューノーマルの世界に、30年も前に流行したジャンルのサウンドが響き合うとは、なんとも不思議な巡り合わせです。
OKADA TAKURO+DUENN『都市計画(URBAN PLANNING)』
元・森は生きているの岡田拓郎とサウンド・アーティストのduennがコラボレーションし〈都市の音楽〉をコンセプトにつくり上げた現代の環境音楽アルバム
GANG GANG DANCE『KAZUASHITA』
あらゆるジャンルを横断しながらトライバルな異世界を奏でるNY出身の前衛音楽集団。タイトルには“和明日(Peace Tomorrow)”という意味が込められている
SAM PREKOP『Comma』
The Sea and Cakeのフロントマン。80年代の日本のニューエイジや90年代のミニマルテクノに影響を受けたソロ作。美しい風景写真が並ぶインスタも要チェック