仮想都市散歩《音楽日々帖》


 ニューエイジやアンビエントが、いま静かにリバイバル中です。空間にすっと溶け込んだり、反対に壮大なランドスケープを想起させたり。スペーシーな音の広がりが仮想現実みたいだなと思っています。

 岡田拓郎とダエンが、『都市計画(Urban Planning)』を発表しました。少ない音数で描く都市のスケッチは、整然とした建築模型のような趣も。「Hana To Midori To Hikari」と「Green Park」は、音のパターンが似ているので、緑地を記号化しているのかな?などと、想像をかき立てられるのも新鮮です。このアルバムは近所を散歩しながら聴くのがオススメ。見慣れた景色が電子音と重なって、AR=拡張現実みたいな感覚が味わえますよ。

 一方で、ニューエイジ色を強く打ち出したギャング・ギャング・ダンスの『KAZUASHITA』のように、世界観に没入できるタイプのアルバムも。シャーマニックな歌声とあいまって、別の惑星にワープしたかのようなSF感は唯一無二です。

 サム・プレコップの『Comma』では、アンビエントにビートプログラミングを使用。浮遊感のある電子音のなかに四つ打ちのビートが入ってきたかと思えば、攻撃的なサウンドが展開されたりと、多彩なシンセワークが光ります。近未来の街をドローンで撮影しているかのような、非現実的な雰囲気が印象的でした。

 バーチャルな体験が身近になったニューノーマルの世界に、30年も前に流行したジャンルのサウンドが響き合うとは、なんとも不思議な巡り合わせです。

 

OKADA TAKURO+DUENN『都市計画(URBAN PLANNING)』

 元・森は生きているの岡田拓郎とサウンド・アーティストのduennがコラボレーションし〈都市の音楽〉をコンセプトにつくり上げた現代の環境音楽アルバム

metro212_music_01.jpg配信のみ 2020

 

GANG GANG DANCE『KAZUASHITA』

 あらゆるジャンルを横断しながらトライバルな異世界を奏でるNY出身の前衛音楽集団。タイトルには“和明日(Peace Tomorrow)”という意味が込められている

metro212_music_02.jpg4AD 2018

 

SAM PREKOP『Comma』

 The Sea and Cakeのフロントマン。80年代の日本のニューエイジや90年代のミニマルテクノに影響を受けたソロ作。美しい風景写真が並ぶインスタも要チェック

metro212_music_03.jpgHEADZ247 2020





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