『ダヴィデ=アポロ』 背負うのは、ダヴィデの投石器か、アポロの矢筒か

《上野》「ミケランジェロと理想の身体」開幕、9/24まで!


 彫刻、絵画、建築の各分野で活躍し、「神のごとき」と称えられたミケランジェロ・ブオナローティ(1475~1564)。自らを彫刻家と名乗り、身体の美しさを追求し、多くの芸術家に影響を与えました。ミケランジェロの彫刻を中心として、古代ギリシャ・ローマとルネサンスの作品約70点を一堂に集めた「ミケランジェロと理想の身体」が、国立西洋美術館で開幕しました。

 本展は、ミケランジェロの代表的な彫刻作品『ダヴィデ=アポロ』、『若き洗礼者ヨハネ』を日本初公開。一時は同一人物が所蔵した二つの傑作が、約500年の時を経て並べて展示されます。会場では、この二つの作品を全方位から鑑賞することができるように配置されています。

 壮年期の作品である『ダヴィデ=アポロ』は、文字通り聖書の英雄ダヴィデなのか、ギリシア神アポロなのか、謎に包まれた作品です。未完成の作品であるため、表面に残されたノミの跡が生々しい制作過程を伝えています。

 一方で、『若き洗礼者ヨハネ』は、20歳を過ぎたばかりの頃に制作した初期の作品。ルネサンス美術のもっとも重要な題材であるヨハネを、幼児期を脱して間もないころの純粋無垢な姿で表しています。20世紀前半、スペイン内戦によって破壊されましたが、残った部分をつなぎ合わせて修復し、2013年に復活しました。

『若き洗礼者ヨハネ』 スペイン内戦によって甚大な被害を受けたが、長年にわたる修復でよみがえった

 展覧会には、ミケランジェロが活躍した15世紀ごろの人体が表現された作品や、当時の人々が参考にした、今から二千年以上も前の時代の作品も展示。古代ギリシャ・ローマとルネサンス作品を並べることで、ミケランジェロや当時の芸術家たちが創りあげた理想の身体美の表現に迫ります。

 世界に約40点しか現存しないミケランジェロの大理石彫刻のうち傑作2点に出会うことができる日本で初めての展覧会です。この貴重な機会に、足を運んでみてはいかがでしょうか。


ミケランジェロと理想の身体

会期:2018年9月24日(月・休)まで

開館時間:9:30~17:30/金、土曜日は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)

会場:国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)

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