プラハの春とその挫折など東西冷戦下、世界が激動した1968年。この時期に製作されたドイツ、オーストリア、日本の映画を特集上映する「1968《昨日からの別れ-日本・ドイツ映画の転換期》」が28日から6月15日、東京ドイツ文化センター(東京都港区)で開催される。
特集上映では、68年から50年が経過した今、私たちの社会、政治、文化はどのように変化し、どんな局面に立たされているのかと問題提起。15本の長編作品を通して問い直す。
主な作品は、若く才能あふれた映画監督を輩出したニュージャーマンシネマを代表するアレクサンダー・クルーゲ監督(86)の「昨日からの別れ」(66年)。ユダヤ人の親を持ち東ドイツから西ドイツへ逃れた22歳の女性が、西ドイツの生活に溶け込めずに苦しむ姿が描かれている。
このほか、個人の自由と幸せを追求する主人公に共感し、東ドイツで観客300万人動員を記録した「パウルとパウラの伝説」(73年、ハイナー・カーロウ監督)、68年の混沌とした新宿の街を切り取った「新宿泥棒日記」(69年、大島渚監督)なども上映される。