遠景は、残雪にきらめく3000メートル級の峰々。近景にはすがすがしい新緑の森や棚田が広がり、雪解け水が小川や水路をほとばしりながら流れてゆく。
長野県北西部、北アルプスの麓に位置する大町市で4日、「北アルプス国際芸術祭」が開幕した。国内外から36組の作家が参加し、豊かな自然に触発された作品を市内各地で展開している。
大町を見下ろす鷹狩山山頂。人気クリエーティブチーム「目」は、古い空き家をのみこむ白い繭(まゆ)のような空間をつくり上げた。丸く切り取られた北アルプスの絶景が、自分の身体になじむような感覚をおぼえる。
屋外の巨大作品は、里山の芸術祭ならでは。地元の竹に注目したロシアのニコライ・ポリスキーは、北斎の浮世絵から「バンブーウェーブ(竹の波)」を発想。竹の先端をくるんと丸める細工など、近所のお年寄りらの技術協力を得てイメージを実現させた。