横浜は今も昔も、異国情緒という言葉が似合う街。1927年に開業し、昨年90周年を迎えたクラッシックなホテルニューグランドは、そんな横浜のランドマーク的存在です。
このホテルでは5月31日(木)まで、開業時からの“伝統料理”をワンプレートに盛り合わせ、スープ、デザート、コーヒーをセットにした「大人のお子様ランチ」(3700円)を食べることができます。
プレートにのっているのは、シーフードドリアとスパゲッティナポリタン、ハンバーグステーキ、フライドポテト。洋食でおなじみのドリアとナポリタンは、実はホテルニューグランドで生まれたのです。
「“ドリア”は、創業当時、初代総料理長のサリー・ワイル氏が、風邪気味というお客さまからの『喉の通りがよいものを』という要望に応えて作った料理」だそう。ご飯とエビにベシャメルソースをかけて焼き上げたものが、現在のドリアの始まりとなりました。
「大人のお子様ランチ」のドリアは、一口食べるごとに、エビがごろごろ。食感の違いを出すために、カットした大ぶりのエビと小ぶりのエビを丸ごと、そしてホタテを具にしています。エビのだしから取った薄いオレンジ色のソースとベシャメルソースが、クリーミーなコクを出している王道の味のひと品です。

“ナポリタン”は2代目総料理長 入江茂忠氏が考案したもの。終戦を迎えた1945年から7年間、ホテルはGHQ将校の宿舎として接収されていました。その間、将校らが軍用保存食のスパゲッティをケチャップであえて食べているのにヒントを得て、入江氏が考え出したそうです。
でも、ソースには、フレッシュトマトとトマトの缶詰、トマトペーストが使われていて、ケチャップは入っていません。具材はマッシュルームとハムのみ。スパゲッティは柔らかめですけれども、もちっとして、しっかりとした歯ごたえがあります。
トマトソースも充分に絡まり、一般的なナポリタンとはひと味もふた味も違ったおいしさです。

デザートのカスタードプリンは、卵と牛乳と砂糖を使った昔ながらの味。最近、流行のプリンのように、とろりとした食感を出したり、濃厚にしたりすることもせず、シンプルなおいしさで勝負しています。
食事の後は、ドリアやナポリタンメニューの生まれた時代を彷彿とさせるホテルの中を、ちょっと散策するのがオススメ。「大人のお子様ランチ」を提供しているコーヒーハウス「ザ・カフェ」のすぐ横にある本館の大階段は、荘厳で、映画のワンシーンに出てきそう。階段下では、イタリア製タイルで果物をモチーフにした手すりの飾りが目を引きます。

階段を上った2階のフロアはロビーですが、まるで鹿鳴館時代にワープしたかのようで、ロングドレスの貴婦人が行き交う姿が目に浮かびます。ソファ、イス、テーブル、ランプ、カーテン,ドアなどの全てに、ロマンと歴史が感じられます。


ゴールデンウイークには、「大人のお子様ランチ」を、華やかなホテルの歴史とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。
大人のお子様ランチ
提供場所:ホテルニューグランド本館1階コーヒーハウス「ザ・カフェ」(横浜市中区山下町10番地)
提供期間:5月31日(木)まで
提供時間:午前11時~午後8時30分(L.O.)
価格:3700円(税・サービス料別)
問い合わせ先:045-681-1841(午前10時~午後9時)