illustration: Yu Fukagawa

《お多福美人講座》女はやっぱり見た目!


 「人は見た目じゃない。心よ!」と思っていた若かりし日、「その考えを怠け者の言い訳として使うのはおよしなさい」とある方に諭さとされました。 

 「美人でも意地悪な人っているでしょう? でもそういう女性は、美しくあるために努力しているわ。ブスで意地の悪いのは、努力してないの。そして人を妬むのよ。誰だって 綺麗になる努力をしていれば、顔のつくりはさておき、キレイなオーラが出るわ。身綺麗だったり、おしゃれだったり、表情やしぐさが美しかったり・・・だから、 仏頂面でだらしなくて不細工オーラが出ている子は、私は怠け者ですって言っているのと同じ。それにね、ここぞと言うときに可愛い顔ができるのは、意地悪に見えても、可愛い部分がその人の中にあるってこと。心にメリハリがあるのよ。年を重ねればそれはもっと顕著。素敵な顔つきでいるには、そういう顔をするための筋力が使えてないといけないから」  

 言われてみれば確かに、綺麗でいるには努力が必要です。背筋を伸ばすより、背中を丸めるほうが楽だけど、見た目が良いのはやっぱり背筋がピンとしている方。肌や髪の手入れもそう。人生、楽しいことばかりじゃないから、放っておくと口角は下がるし、頬も下がる。だからこそ、楽しいことをしたり、好きな世界を持ったりして、いい顔で過ごす時間を持たないと、とっさに美しい表情にはならない。男にだけいい顔をするにしても、その表情をつくる筋肉はきちんとキープできているから、可愛い顔がスムーズにできるのです。意地悪な顔をすることがあっても、いい顔の時間もちゃんと持つこと。

 「サボっているのをごまかして美人のあら探しをしてちゃだめよ。妬む怠け者の顔になるから。それよりも、綺麗になる努力をしてね。見た目にちゃんと反映されるから」

 怠けたいとき、美人を妬みたくなるとき、この言葉を思い出すようにしています。


千代里(ちより)

エッセイスト。元新橋芸者。花柳界で学んだことについての講演が人気で全国を回る。古今東西の美しい女性のしぐさや言葉を調べるのが好き。著書に『捨てれば入る福ふくそうじ』など。現在は講演で全国を回る日々。そそっかしい性格で、先日も講演帰りに博多から京都までの新幹線の切符を落として買い直すことに





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