《お多福美人講座》いい男を引き寄せる方法

コラム

明治以降、新橋の花柳界では、政界や財界の方のもとへ嫁ぐ芸者が多くいました。なかでも陸奥宗光夫人の亮子などは有名で、「鹿鳴館の華」と呼ばれたそうです。今でいうところのセレブ婚は、やはり芸者の憧れだったようで、素敵な方の目にとまる秘訣が語り継がれ、私も芸者デビューをして間も無くその秘訣を教えてもらうことができました。そこで聞いたとっておきの秘策とは…!?

 「男性を追いかけない」こと。

 男性に好かれるテクニックを教えてもらえるものと思っていただけに、拍子抜けでした。

 素敵なご縁を望むなら、自分の好きなこと、夢中になれることに打ち込むこと(私たちにとっては、たいていはお稽古ごとに励むこと)。するとその姿は自然と輝き、必ずよい流れがくるので、出会うべき人と出会えるということでした。いい暮らしがしたいとか、玉の輿に乗りたいと思っていると、その魂胆が透けて見えて、利用されたり泣かされたりしますよ、とも教わりました。見た目に気をつけたり、美しい所作や言葉遣いを心がけることも大切だけど、それと同じく大切なことは、今ここで目の前のことを楽しむこと、幸せを感じることだそうです。今の充実感がさらなる充実を呼び、今の幸せがさらなる幸せを呼ぶ。お金やステイタスへの欠乏感から異性を求めないこと。何のひねりも技もない清く正しい心得でしたが、効果は絶大でした。一方で人を寄せ付けなかったり、周りの方の好意を受け入れない頑なな姿勢になることがないように、という教えもありました。いい出会いがないときは、趣味を追求したり楽しいことをやってみる。仕事一筋で男性との出会いを受け入れる隙のなかった方は、周りからのお誘いにも乗ってみる。こうした日頃の習慣は、花柳界以外でも通じるお話です。リラックスして今いる場所を楽しむことは、きっと望む未来につながっていくはずです。

ちより

エッセイスト。元新橋芸者。著書に『捨てれば入る福ふくそうじ』『福ふく恋の兵法』など。男女の違いやコミュニケーションについての講演が人気で、全国を回る日々。いつも色気より食い気が勝つ


TAGS:#美人

コラム


この記事をシェアする

LATEST POSTS